2017年04月03日 06:00 公開

双極性障害が正しく理解される社会へ【上】

「第3回世界双極性障害デーフォーラム」開催

 双極性障害とは、うつ状態と躁状態を繰り返すことから満足な社会生活を営むのが難しくなる病気のこと。かつては躁うつ病とも呼ばれていたこの病気への理解を促進するため、双極性障害を患っていたとされる画家フィンセント・ファン・ゴッホの誕生日である3月30日が「世界双極性障害デー」と定められたのは2014年のこと。今年も3月30日に向けて、NTT東日本関東病院(東京都品川区)で第3回世界双極性障害デーフォーラムin東京(日本うつ病学会主催)が開催された。

正しい診断と治療を受ければコントロールできる

 開会の挨拶に立った日本うつ病学会双極性障害委員会の加藤忠史委員長は、「双極性障害への理解が進むことで、早期に適切な治療が受けられるようになってほしい。双極性障害は心の病気ではなく体の病気で、正しい診断と治療を受ければコントロールできます。周囲の誤解を受けて、社会参加の場が失われることがないよう願っています」と述べた。

 続いて、患者やその周囲の人で構成されるNPO法人「ノーチラス会」(東京都品川区)の副理事長である辻松雄さんと理事の堀越悦子さんが、それぞれの立場から双極性障害について語った。双極性障害は当事者だけでなく、家族が困難を強いられることもある病気で、双極性障害と闘う当事者とその家族の生の声を知ってほしいとの思いからである。

 妻が双極性障害だという辻さんは、患者会でどのようなことが話し合われているかについて触れた。「わが子が病気を患ったのは、自分の育て方が悪かったせいではないか」と悩んでしまう親は多いという。また、双極性障害のために患者本人が怒りっぽくなったり、死にたいなどと口走ったりすることに対し、「家族は病気のせいだと理解しているつもりでも、度重なると我慢の限界を迎えることもある」そうだ。

 さらに、具体的な薬の話のほか、躁状態あるいはうつ状態の時の家族の接し方、就労の方法、遺伝なのかどうか、女性の場合は妊娠できるのか、子どもへの説明...など、ノーチラス会における患者会で取り上げられる話題を紹介。その上で辻さんは「実際の体験を話すと説得力が出て、理解してもらいやすい。これからも活動を続けていきたい」と語った。

自分なりのサポートチームを作ることも大事

 双極性障害の夫を持つ堀越さんは、「夫の支えになりたいと思って結婚したものの、一緒に住むとなると、楽しくテレビを見たり食事したりしていたのに、突然、夫が暗い顔になり『死にたい』と口走ることにショックを受け、自分までおかしくなりそうになったこともあります」と現実を打ち明けた。また、遺書を書いて家を出た夫に振り回されこともあったという。

 その後、堀越さんは、ノーチラス会に参加して"自分だけじゃない"という安心感を持ち、夫婦で会の運営に携わる中で前向きになれたという。そして、ある患者さんに感銘を受ける。「辛いことも、自分で作ったサポートチーム(主治医や福祉関係者、ノーチラス会、LINEの友人)に相談すると解決できる」と話すその人との出会いを通し、「双極性障害にもチーム医療は役立つ。自分なりのサポートチームを作ることが回復の役に立ちます」と話した。

(萩原忠久)

関連トピックス

関連リンク(外部サイト)

  • NPO法人ノーチラス会