2017年04月14日 06:00 公開

定年後の飲み過ぎに警戒

 長年勤めた職場を定年退職して、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになる―そんな喪失感は、定年退職した人なら誰でも感じるものだろう。これをお酒で埋める人がいてもおかしくない。このたび、フィンランド産業衛生研究所などの共同研究グループが、定年退職者の飲酒量に関する調査を行い、約12%が定年退職を迎える時期に、一時的にアルコールの量が危険なレベルに達するまで増加したと報告した。研究の詳細は、3月3日発行の医学誌「Addiction」(電子版)に掲載されている。

男性、喫煙者、うつ病、首都圏で働くことが危険因子に

 定年退職を迎え生活環境の変わる時期には、お酒の量にも変化が起こる可能性がある。しかし、人生のターニングポイントと飲酒量に関して特定の集団を長期間に追跡するような研究は、これまでほとんど実施されていない。

 そこで今回、研究グループは、退職時期に起こる危険な飲酒のパターンと、それを予測する因子の特定を目的に疫学研究を行った。

 対象は、2000~11年に定年退職を迎えた男女5,805人で、定年退職前に1~3回、定年退職後にも1~3回、飲酒に関する質問に回答してもらった。

 危険な飲酒の定義は、男性では1週間に純アルコール換算で288g超、女性では192g超、ここ1年間に経験したひどい飲み過ぎ―のいずれかとした。ちなみに、ビール中瓶1本で、純アルコール20gだ。

 その結果、対象者のうち81%が、定年前後に健全な飲み方を続けた。しかし、12%の人は定年退職の時期に、危険な飲酒が一時的に増えていた。一方で、定年退職後に危険な飲酒が徐々に減った人も7%いた。

 一時的に危険な飲酒に走るかどうかを予測する退職前の因子を調べたところ、定年退職前に喫煙している人は、非喫煙者に比べて、危険な飲酒に走るリスクが3.9倍高かった。また、男性は女性に比べて2.77倍、うつ病の人は非うつ病の人に比べて1.44倍、職場が首都圏にある人はそれ以外で働く人に比べて1.29倍、それぞれ危険な飲酒に走るリスクが高かった。

 研究グループは、「フィンランドでは、定年退職の年齢に達する人の約12%が、アルコール消費量を一時的に危険なレベルにまで増加させる。一方で、約7%は危険レベルの飲酒を緩やかに減少させていた。男性、喫煙者、うつ病、首都圏で働くことが、アルコール量の増加と関連するようだ」とコメントしている。

 「定年後は第二の人生の始まり」などと言われる。充実した第二の人生を歩むためにも、人生のターニングポイントとなる定年の時期には、たとえ女性や非喫煙者であっても、お酒の飲み方には十分に気を付けたいものだ。

(あなたの健康百科編集部)