2017年04月20日 06:00 公開

震災は子どもの健康にどう影響したか

当時、保育園児だった子どもたちを調査

 2011年に起こった東日本大震災は、多くの人の心と体に打撃を与えた。その影響は大人にとっても大きなものだったのだから、子どもにも多大な影響があったに違いない。震災当時、保育園に通っていた子どもたちを調査したところ、災害時の経験によって病気や症状に違いがみられたと、東北大学の研究グループが医学誌「BMJ Global Health」(27 March 2017)に発表した。

男子では「津波」、女子では「家屋崩壊」の経験が疾病リスクに

 研究グループは、協力の依頼に応じてくれた全国3,624カ所の全国の認証保育園を対象に2012年9~12月に調査を行った。対象者は東日本大震災時にほぼ5歳であった2006年4月2日から2007年4月1日の間に生まれた6万270人で、その中の840人は災害を体験していた。

 アンケート項目は、子どもの生年月日、性別、現在の保育園内外への移動歴、5歳6カ月~6歳6カ月の時に医師が診断した病気の有無、東日本大震災においてどんな災害を経験したかなどで構成されていた。

 全体的な傾向として、災害を経験することは、疾病の有病率に明らかに影響していた。

 全体では、明らかな有意差ではなかったが、「避難所での生活」は特にアトピー性皮膚炎のリスクを高める傾向があった。

 特に、男子と女子で差があった。男子では、「津波」、「避難所での生活」がアトピー性皮膚炎の罹患率の高さと著しく関連していた。女子では、「家屋の崩壊」と「引っ越し」が、喘息発症率が高くしていた。

 一方で、震災当時保育園を卒業して小学校に通っていた2004年4月~2005年4月1日に生まれた当時6歳の子どもを同じように調査したところ、内陸部に住んでいた子どもにも、海岸線に住んでいた子どもにも目立った有病率の増加は見られなかった。

 結論として、同グループは性差や経験した災害によって病気のリスクは異なり、災害の経験は災害後少なくとも1.5年を経過した後も、引き続き子どもの健康状態に影響を与えている。そのため、子どもの健康状態を継続的に観察することが必要だとしている。

(あなたの健康百科編集部)