バンコク発Drワタリの健康見聞録
2017年04月28日 10:00 公開

バンコクの医療の質とお金の話

 海外に長期滞在する時の大きな不安の1つに「病気になった時どうするか」という問題があるかと思います。
一方で、メディカル・ツーリズムという言葉をご存じでしょうか?海外の医療や検査を受けることを目的にその国を訪れることです。

日本より上?タイの医療レベル

 意外かもしれませんが、ここタイの医療レベルは医師から見ても、日本の医療レベルとあまり遜色ありません。というよりも、一部の領域では日本の平均的な病院より高い医療技術を提供していると思います。 

 良い医療とは何かという定義にもよりますが、国際的な医療水準を満たしている指標にJCI(Joint Commission International)認定というものがあります。実はこのJCI認定を受けている日本の病院は、錚々たる有名病院が並び2017年3月現在で合計22病院しか認定されていません。一方で、なんとタイにはその数を大きく上回る56 病院が認定を受けています。

 中立的に厳しい外部評価であるJCI認定を受けるためには、まずは医療安全の評価だけでなく、例えば初診や入院中のカルテが毎日適切に書かれているか?世界標準の院内感染予防が取られているか?同意書や患者への説明の内容とそのカルテ記載があるか?有事の際のプロトコールが周知されているか?など当たり前の事を当たり前にできているかどうかが問われます。

中東や欧州からの患者も

 特にタイの都市部ではプライベートホスピタルが乱立しており、アジア近郊の富裕層だけでなく、中東や欧州からも数多くの患者が治療を受けに海外からやって来ます。

 その代表格であるバンコクホスピタルを見学してきました。バンコクホスピタルは550人を収容することができる大病院で、訪れる患者さんの構成はタイ人が75%で外国人が25%を占めています。メディカル・ツーリズムの場合ではなんとサウジアラビア、カタール、クゥエートなどアラブ諸国からだけで半分以上が占められているそうです。

医療レベルは心配なし、あとはお金・・・・・・?

 国際的に高い医療技術だけでなく、アメニティや設備の豪華さはバンコクの中でも「ピカイチ」です。医療費は基本的に保険などがなければ自費となり、日本での治療費よりも高額となります。

 タイの経済発展の目覚ましさを反映して、現地のタイ人からは厚い信頼と人気があり、非常に混雑していました。もちろん、在留邦人や日本人観光客のための部門もあり、言葉の違いも気にせず日本と同等の医療を受ける事ができます。

 ただ費用は高額です。観光で訪れる方も長期滞在を計画されている方も万が一の保険は事前に調べてから渡航することをお勧めします。

和足孝之(わたり・たかし)

2009年 岡山大学医学部卒業(学士編入学)。湘南鎌倉総合病院での研修を経て、東京城東病院総合内科の立ち上げ業務後、熱帯医療を体感するためタイに渡り、マヒドン大学臨床熱帯医学大学院で学ぶ。2016年帰国。現在、島根大学医学部卒後臨床研修センター教育専任医師。関東50以上の救急病院で断らずに当直業を行い、医療システムと様々な病院における問題を実感しその提起をブログなどでも発信している。熱血&闘魂という言葉をこよなく愛する暑苦しい3児の父。


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