2017年05月15日 06:00 公開

インフルエンザ大流行を救うのは、カエル!?

 高熱や関節痛を伴うつらいインフルエンザ。2017年は4月の後半に、前のシーズンよりかなり多くの感染者が出たようだ。そんな中、米国エモリー大学などのグループが、インフルエンザに関連する研究結果を報告した。インド南部のカエルから発見された「ウルミン」というタンパク質が、インフルエンザウイルスを破壊し、インフルエンザの感染からマウスを守ったという。詳細は、4月18日発行の学術誌「Immunity」(2017;46:587-595)に掲載されている。

ウルミンが独自の方法で殺ウイルス作用を発揮

 インフルエンザA型ウイルスに対して、ワクチンの接種は有効である。しかし、大流行が起こった場合、ワクチンの生産が追いつかないため、抗ウイルス薬を使って治療することになる。

 ところが、なかには「薬剤耐性」といって薬に対する抵抗性を持ってしまい、現在使われている抗ウイルス薬が効きにくいウイルス株も出現している。そのため、新しい抗ウイルス薬の開発が求められている。

 そこで研究グループは、南インドに生息するカエルの皮膚にある「抗微生物ペプチド」というタンパク質を調べた。この抗微生物ペプチドは、カエルが自分の身を守る手段として身に付けてきた微生物に対する防御機構で、微生物が体内に侵入するのを防いでいる。

 今回、研究グループは、カエルから発見されたペプチドの1つを「ウルミン」と命名した。

 人が感染するA型インフルエンザウイルスには、その表面にウイルスを細胞内に侵入させやすくする突起が付いている。突起には多くの種類があるが、ウルミンはそのうちのH1をターゲットとして殺ウイルス作用を発揮することが、研究により実証された。

 そしてウルミンは、ウイルス表面のH1突起のうち、先の部分ではなく茎部分だけを特異的に標的としていることが分かった。そのため、薬剤耐性のあるA型インフルエンザウイルスのH1型に対しても有効性が認められたという。

 続いて、研究グループが電子顕微鏡を用いて調べたところ、ウルミンがインフルエンザウイルスを物理的に破壊することを確認した。

 さらに、このウルミンは、マウスが致死的なインフルエンザに感染するのを防いだという。

 研究グループは、今回の研究結果について「ウルミンが標的とするのは、ウイルスの表面に出ている突起の中でも、特に茎状の部分であり、これはインフルエンザのワクチン接種によって誘導される抗体の標的と似ている」とし、「これまでにない独特の方法で、インフルエンザウイルスに対する殺ウイルス作用を発揮している」とコメントしている。

 最後に、研究グループは「ウルミンは、インフルエンザが大流行したら、治療の第一線で活躍する抗ウイルス薬になる可能性を秘めている」と、今後の臨床応用へ向けた研究に期待感を表した。

(あなたの健康百科編集部)