2017年05月19日 06:00 公開

キャベツなどアブラナ科野菜が肺がん減らす

国立がん研究センター:日本人約8千人の調査結果から

 少しでもがんになる可能性は低下させたい。そのために、がんを予防するといわれる食べ物やサプリメントを摂取するが、実のところ、その真偽のほどは疑わしい。何をどれだけ食べればがんにならないのか―そのヒントの1つになる研究が報告された。国立がん研究センターの研究グループが、大根、キャベツ、ブロッコリーなどのアブラナ科野菜が肺がんのリスクを低下させると医学誌「Journal of Nutrition」(2017;Apr 5 オンライン版)に発表した。

日本人の研究でアブラナ科野菜の予防効果を明らかに

 アブラナ科野菜はDNA損傷の原因となる発がん物質の排出を高めるイソチオシアネートという物質を多く含むことが知られ、肺がんリスクを低下させる可能性があると近年注目されているという。

 しかし、研究の多くは、アブラナ科野菜の摂取量が元々少ない欧米で行われたもので、肺がんに大きく影響する喫煙状況とともに検討した研究は少なく、結果は一貫したものではなかった。

 今回、国立がん研究センターのグループはアブラナ科野菜摂取量の多い45~74歳の日本人82,330人(男性38,663人、女性43,667人)を対象として、アブラナ科野菜と肺がん発症リスクの関連を喫煙状況別に調べた。

アブラナ科野菜摂取量の多い、非喫煙者でリスクが半分に

 日常の食事データを分析し、食事習慣と疾病との関係を研究するための138項目のアンケート調査「食物摂取頻度質問票」を使用し、キャベツ、大根、小松菜、ブロッコリー、はくさい、チンゲンサイ、からしな、ふだんそうの8項目のアブラナ科野菜から総摂取量を推定し、摂取量を元に男女別に4つのグループに分けた。アブラナ科野菜摂取量が一番少なかったグループを基準として、その他のグループで肺がんの罹患リスクが何倍になるかを調べた。

 調査平均期間14.9年中、1,499人(男性1,087人、女性412人)が肺がんと診断された。男性全体では、アブラナ科野菜摂取と肺がんリスクとの間に有意な関連は見られなかったが、アブラナ科野菜の摂取量が多い非喫煙者で肺がんリスクが51%低くなっていた。

 また、喫煙を止めてからの期間は不明だが、過去喫煙者でもアブラナ科野菜の摂取量が多いと、肺がんリスクが41%低くなっていた。

 一方、女性ではアブラナ科野菜の摂取量、喫煙状況と肺がん発症リスクとの間に関連はみられなかった。

 さらに、個別のアブラナ科野菜との関連を調べたところ、キャベツの摂取量が多い男性の非喫煙者で、43%肺がんリスクが低くなっていた。

 その他のアブラナ科野菜では男女ともに関連はみられなかったという。

 研究グループは「アブラナ科野菜には、抗がん作用のあるイソチオシアネートの他、葉酸、ビタミンC、ビタミンE、カロテンなどの生理活性物質が多く含まれており、それによりリスク低下がみられたと考えられる」としている。イソチオシアネートについては、「ヒトにおけるがん抑制作用のメカニズムはよく分かっていない」のが現状であり、「調理による影響を受けるため、肺がんとの正確な関連を調べるためには、尿中に排出されるイソチオシアネートの代謝物を調べる必要がある」としている。

(あなたの健康百科編集部)