2017年07月03日 06:00 公開

ベテラン医師は、腕がいい?

担当医が若いほど30日死亡率低下

 経験豊富な高齢の医師の方が、若い医師よりも治療成績が優れていると考える患者は多い。しかし、米国のハーバード大学公衆衛生大学院などの研究グループが米国内の高齢入院患者約73万人を対象に実施した研究からは、医師の年齢が低くなるほど入院から30日以内の死亡率(30日死亡率)は低下することが示されたという。詳細は、5月16日発行の医学誌BMJ(2017;357:j1797)に掲載されている。

「高齢の医師ほど医学的知識が少ない」との分析も

 研究グループによると、これまでに、若い医師と比べて高齢の医師では医学的知識が少なく、ガイドラインに沿った治療が行われていないとする分析結果が報告されているという。ただ、医師の年齢が患者の死亡率などに影響するか否かについては明らかにされていなかった。

 そこで研究グループは、今回、米国内で2011~14年に内科系の病気で緊急入院し、ホスピタリストという入院患者を専門に診る病棟専属医による治療を受けた65歳以上の患者で、米国の公的保険「メディケア」を受給している人のデータを用いた研究を実施。担当したホスピタリストの年齢と、入院患者の30日死亡率や再入院率、医療費との関連について調べた。

 解析の対象者は、ホスピタリスト1万8,854人(平均年齢41歳)による治療を受けた緊急入院患者73万6,537人。研究グループは、ホスピタリストを選んだ理由を「医師の年齢によって担当する患者の重症度に偏りが生じることを避けるため、シフト勤務で自分の担当患者を選択できないホスピタリストが適当と判断した」と説明している。

「医師の年齢や性別などで先入観持たず、客観的なデータの参照を」

 患者側の要素として年齢や性、人種、主な診断名、併存する疾患、世帯収入、医師側の要素としては性、卒業した医学部、病院といったさまざまな因子に影響されないよう調整を加えたところ、30日死亡率は、担当医の年齢が60歳以上で12.1%、50歳代で11.3%、40歳代で11.1%、40歳未満で10.8%と、担当医の年齢が低くなるほど低下した。また、ホスピタリスト以外の一般内科医による治療を受けた入院患者においても、同様の結果が得られたという。

 さらに、医師が担当する入院患者の数で3分割し分析したところ、年間の担当患者数が少ない(90人未満)または中程度(90人以上200人以下)の医師では、年齢が上がるほど患者の死亡率が上昇した。その一方で、担当患者数が多い(201人以上)医師では、医師の年齢と患者の死亡率の間に関連は見られなかった。この他、医師の年齢が上がるほど医療費が高くなることも示された。

 こうした結果について、研究グループは「一般的に、患者はある程度年齢が高い医師を好む傾向があるようだが、少なくとも内科医に関しては、年齢が高いほど腕の良い医師であるとの考えは改める必要があることが明らかになった」として、「患者側も医師の年齢や性別などによる先入観を持たずに、客観的なデータを基に医師の診療の質を測ることが重要だろう」との考えを示している。

(あなたの健康百科編集部)