2017年07月13日 06:00 公開

要介護にならない秘訣とは

自分の歯を維持できる高齢者は要介護になりにくい

 日本は、世界を代表する長寿大国だが、ただ長生きすればいいという訳ではなく解決すべき課題も抱えている。医療や介護に依存せず、いかに健康な状態で長生きできるかという「健康寿命」が重要視され、その延伸のために国はさまざまな策を講じている。そんな中、東北大学大学院歯学研究科などの研究グループは、歯の維持と健康寿命との関連について研究し、高齢期に自分の歯が多く保たれている人は、健康寿命が長く、要介護でいる期間が短いことを明らかにした。詳細は、6月13日発行の科学誌「Journal of Dental Research」(電子版)に掲載されている。

歯の本数による健康寿命の差は、85歳以上で顕著に

 これまでの研究では、歯が多いと死亡率が低いことや要介護になりにくいことが示されている。しかし、要介護でいる期間との関連は明らかにされていなかった。

 そこで、研究グループは、要介護になる前の歯の本数と、寿命・健康寿命・要介護でいる期間との関連を明らかにすることを目的に、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者7万7397人を3年間追跡した。

 対象者には、自己記入式の質問用紙に回答してもらった。歯の本数は、「0本」「1~9本」「10~19本」「20本以上」の4区分とした。各自治体のデータベースから、死亡日と要介護度2以上の認定日を入手し、質問用紙のデータと合わせて分析した。

 死亡や要介護の発生に影響を与えそうな要因を取り除くため、年齢、入れ歯の使用、学歴、所得、過去の病歴、主観的な健康感、転倒経験、喫煙状況、飲酒状況、歩行時間、体格指数(BMI)などを調整した上で、男女別に分析を行った。

 その結果、自分の歯の本数が多く保たれていると、単に寿命が長いだけでなく、健康寿命も延伸することが分かった。また、要介護でいる期間が短いことも明らかになった。

 65~69歳、75~79歳、85歳以上の3グループに分け比較したところ、寿命の差は85歳以上で最も大きく、歯が20本以上ある人は0本の人に比べて、寿命が男性で57日、女性で15日長かった。健康寿命も同様に85歳以上で最も大きく、男性で92日、女性で70日長かった。さらに、要介護でいる期間は、男性で35日、女性で55それぞれ短かったという。

 厚生労働省から出されている「健康日本 21(第 2次)」では、健康寿命の延伸と、寿命と健康寿命の差を小さくすることが目標として掲げられている。研究グループは、「本研究により、歯の健康を保つことが、健康寿命の延伸と要介護でいる期間の短縮に寄与する可能性が示された」とコメントしている。

 せっかく長生きするのであれば、楽しい人生を送りたい。そのためには歯の健康を保つことが重要なようだ。

(あなたの健康百科編集部)