2017年07月24日 06:00 公開

子どもの目にいい夏休みの過ごし方とは

 いよいよ始まる夏休み。テレビやゲーム、スマートフォンなどで思う存分、遊ぶ気満々のわが子を見て、心配に思うことの1つに「目」の問題があるかもしれない。目を酷使することが多くなり、眼鏡をかけている子どもも珍しくなくなった。文部科学省の調査では、裸眼視力が0.3未満の小学生は、1979年に比べて3倍以上と爆発的に増えているという。このほど、近視の原因を科学的に追求する近視研究会(東京都港区)は、「眼育を学ぼう」と題したセミナーを開催。世界的な近視の現状や近視の進行抑制について説明するとともに、子どもの目を考えた夏休みの過ごし方について提案した。

世界中の3分の1が近視に

 はじめに登壇した慶應義塾大学医学部眼科学教室(東京都新宿区)の坪田一男教授は、世界の近視の状況を説明。近視は日本だけでなく世界中で増えていて、世界人口の3分の1に当たる25億人が近視と推測されているという。特にアジア地域では激増していて、過去60年間の増加率は、香港では約8倍、韓国や台湾では約4倍と報告されている。

 近視が進行すると強度近視になり、失明に至る危険もある。日本では、強度近視が失明の原因の第5位にランクされている。

 なぜ近視になるのか。坪田教授は、遺伝的な要素と環境の両方を挙げる。そして、近視の抑制に関しては、屋外活動時間の長さが鍵を握っているという。

屋外でのバイオレットライトが近視を抑える可能性

 では、なぜ屋外活動が近視抑制に有効なのか。続いて登壇した同大学の鳥居秀成医師は、光の明るさを表す「照度」と光の「波長」に着目して、近視と屋外活動との関係について解説した。

 照度については、ひよこを用いた実験で、照度が高いと近視の進行が抑制されるとともに、眼球の長さを表す「眼軸長」も短くなることが報告されている。眼軸長が伸びることは、近視の原因の1つになっている。

 また、鳥居医師らが、ブラジルの子どもと日本の子どもを比べたところ、日中の照度が日本の約2倍高いブラジルの子どもは、日本の子どもに比べて、眼軸長が短いことが分かったという。

 さらに鳥居医師らは、波長360~400nmの「バイオレットライト」に着目。ひよこを用いた実験を行い、バイオレットライトが眼軸長の変化を抑制することを明らかにした。バイオレットライトは、屋外では豊富だが、家庭や学校などの環境にはほとんどない。鳥居医師は「屋外環境には、高い照度とバイオレットライトの両方が備わっています。夏休みには、屋外活動をしましょう」と勧めた。

1日2時間の外遊びを心がけよう

 近視外来を開設する「南青山アイクリニック」で、坪田教授と鳥居医師は、小学生~中学生の子どもを持つ母親400人を対象に、近視に関する親の意識調査を実施した。

 子どもの視力について尋ねたところ、小学校低学年の子どもでは視力1.0以上が72%だったのに対して、中学生の子どもでは1.0以上が31%まで低下。子どもの年齢が上がるにつれて、視力の低下が進んでいることが分かった。

 近視の抑制に効果があるとされるバイオレットライトを浴びるためには、1日2時間の屋外活動が推奨されている。ところが、子どもに平日の昼間、どれくらい屋外活動をさせているかとの問いに対して、「2時間以上」と回答したのはわずか7.8%だったという。

 坪田教授は、「近視は、眼鏡やコンタクトレンズで矯正すれば済むという問題ではありません。進行して強度近視になれば、将来的に失明するリスクもあります。近視にならないよう、また、すでになってしまった子どもはそれ以上進行しないよう生活することが大切です」と話し、「1日2時間の屋外活動を心がけて。夏場は、朝の涼しい時間を利用する、熱中症や肌へのダメージを避けるため帽子をかぶる、日陰を選ぶといった工夫も大事です。そして、水分補給も忘れずに」と外遊びの重要性を改めて強調した。

 夏休み中、部屋の中にこもってばかりいないで外に出て活動したほうが、目のためにはよさそうだ。

(あなたの健康百科編集部)