2017年07月28日 06:00 公開

処方せんなしで病院の薬が買える!?

「零売(れいばい)」「分割販売」をご存じですか?

 "処方箋なしで病院の薬が買える"と看板に書かれたオオギ薬局(東京・内神田)。目にした人は恐らく、首を傾げるだろう。しかし、経営者である薬剤師の扇柳創輔(おおぎやなぎ そうすけ)さんは、「病院やクリニックで扱われる薬(医療用医薬品)の約50%は、処方せんがなくても買えるのです」と話す。一体どんな仕組みなのか? 病院の薬なら何でも買えるのか? 価格設定はどうなのか? 頭にたくさんのハテナを浮かべながら、扇柳さんを訪ねた。

薬局でのみ販売可、通販は禁止

 そもそも薬には大きく分けて2種類ある。1つは医師や歯科医師によって使用される「医療用医薬品」、もう1つは一般の人が自らの判断で購入し、使用する「一般用医薬品」または「OTC医薬品」で、市販薬とも呼ばれている。医療用医薬品は通常、医師または歯科医師が処方せんを出し、薬剤師が調剤して患者に処方される。

 ところが、あまり知られてはいないが、医療用医薬品のおよそ半分は処方せんがなくても買えるという(表)。専門的にこれを「零売(れいばい)」または「分割販売」と呼ぶそうだ。もちろん、処方せんが要らないからといって、誰もが販売できるものではなく、あくまで薬局でしか販売は許可されていない。インターネットなどの通信販売も、現在は法律で禁じられている。

 扇柳さんによれば、「病院に行く時間がなかなか取れない方や、処方される薬がいつも決まっている方などには適しています。長期的な健康管理とサポートを行うために原則として会員制にしており、カウンセリングを行った上で販売していますので、安心してご利用いただけます」とのこと。

 取材中、初めて訪れたという女性の利用者に聞いたところ、「普段は病院を受診する時間が取りづらく、仕事で都心を移動することが多いので、ここ(内神田)は立ち寄りやすくて便利」と、来局の動機を話してくれた。保険が効かない全額負担とはいえ、患者ニーズにうまく合っているようだ。

医療費削減にも寄与、「かかりつけ薬剤師」として貢献

 薬剤師がカウンセリングを行い販売しているとはいえ、医療用医薬品の乱用や悪用、あるいは副作用への対応について心配はないのだろうか。

 その点について、扇柳さんは「法律で定められていることもあり、数量は限定して販売していますし、厚労省が認める用量を超えるような大量の購入の相談はお断りします。副作用や薬の使用方法について、電話やFAX、メールなどで相談ができる体制を取っています。開局して2年が経過しますが、今のところ副作用によるトラブルは一度も経験していません。

 もちろん、万一の場合には、医療機関を紹介するなど、適切な処置を取ります」と話す。安全対策は、一般的な調剤薬局と変わらないようだ。

 オオギ薬局の現在の会員数は約1,400人。30〜40歳代の働き盛り、つまり平日の昼間に病院やクリニックを受診する時間が取りづらい世代が多く、男女比は半々という。さらに、扇柳さんによると予想外の「効果」もあるそうだ。「元々の開局した理由・目的ではないのですが、来局する患者さんが医療機関を受診しないで済むということは、診察や検査、処方にかかる医療費の削減につながっていると思います。」

 今や日本の医療費は年間総額40兆円を超えており、その増加に歯止めをかけることは喫緊の課題とされている。必要なら医療機関を受診することは当然だが、受診する必要がないケースで零売薬局を利用することは、1つの選択肢になりそうだ。「チェーン展開や薬剤師の数を増やすよりも、かかりつけ薬剤師として患者さんとの信頼関係を築き、安心して利用してもらえる薬局を長く運営して行きたいですね」と、扇柳さんは語った。

オオギ薬局
住所:東京都千代田区内神田2-8-8 中央ビル1F
電話:03-3525-8096
FAX:03-3525-8095

(あなたの健康百科編集部)