2017年08月04日 06:00 公開

ADHD治療薬で学業成績がアップ

 スウェーデンの大学進学適性試験は、受験回数の制限がないため1人で2回以上受験するのが普通だ。このほど、同国のカロリンスカ研究所のグループは、「注意欠如・多動性障害(ADHD)」患者を対象に、治療薬の服用の有無と大学進学適性試験の成績との関連を検討し、ADHD治療薬の服用で試験成績が向上することを明らかにした。研究の詳細は、6月28日発行の医学誌「JAMA Psychiatry」(電子版)に掲載されている。

複数回受験者の服用時と非服用時で比較

 ADHDは、不注意・多動性・衝動性という3つの特徴的な症状を持つが、薬を服用すれば症状が抑えられる。しかし、薬による治療が学校の成績アップにつながるかどうかはよく分かっていなかった。

 そこで研究グループは、ADHD患者が治療薬を服用していた期間と服用していなかった期間に受けた大学進学適性試験の成績を比較し、学業成績に対する薬物治療の効果を検討した。試験成績は、通常0.00~2.00点(0.05点刻み)で示されるが、今回の解析では、元の成績を100倍にしたスコア(0~200点)を用い、受験時の年齢は17~30歳に限定した。また、薬が6カ月(183日)未満の間隔で処方されていた期間を服用期間と定義した。

 まず、研究グループは、同国の国民登録データから、ADHDと診断された1976~96年生まれの6万1,640人を抽出。2006年1月1日から13年12月31日まで追跡したところ、追跡期間中に試験を受けたADHD患者は3,718人だった。

 ADHD治療薬を服用していた2,745人(73.8%)は、一度もADHD治療薬を服用したことがない973人(26.2%)に比べて、試験成績が10点以上高かった(94.12点 vs. 83.46点)。

 次に、ADHD治療薬を断続的に服用し、2回以上試験を受けた930人(男性493人、女性437人、平均年齢22.2歳、計2,524試験)に絞って、ADHD治療薬の服用中と非服用中の試験成績を比較したところ、薬の服用により成績が13.13点向上していた。ただし、年齢と受験回数(反復受験による練習効果)による偏りを調整したところ、成績向上度は4.80点となった。

治療薬の種類により若干の差も

 治療薬の種類別に見ると、精神刺激薬のみ服用していた665人の成績向上度は3.81点で、精神刺激薬以外の治療薬または複数の治療薬の服用による成績向上度の6.93点に比べて小さかった。一方、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という薬による成績向上度は2.37点と非常に小さかった。

 今回の結果について、研究グループは「薬物治療は、ADHD患者の学業成績の向上に役立つ可能性がある。ADHD治療薬の服用による成績向上効果(4.80点向上)は、受験を1回経験する練習効果と同等だった」と説明。さらに、「診療の場で何らかの判断を下す際には、現在挙げられているADHD治療薬のリスクとベネフィットに加え、ADHD治療薬の服用により試験成績が向上するという今回の結果も考慮すべきである」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)