2017年08月30日 06:00 公開

不整脈治療に大きな一歩

「衝撃波」による頻脈性不整脈治療の開発に成功

 脈拍が異常に速くなる「頻脈性不整脈」は、心臓がドキドキしたり、めまいや立ちくらみ、失神やけいれんを起こしたりして、時には命に関わることもある。このたび、東北大学大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授らの研究グループは、頻脈性不整脈の治療において、従来法の抱える問題点をクリアした全く新しい方法を開発。衝撃波を用いた画期的な治療法について、その有効性と安全性を動物実験で確認したと発表した。詳細は、8月2日発行の欧州心臓学会誌「EP Europace」(電子版)に掲載されている。

安全性と有効性を動物実験で実証

 現在、頻脈性不整脈に対しては、高周波を利用したアブレーション治療が主流となっている。これは、脚の付け根などの太い血管からカテーテルという細い管を挿入し、その先端から高周波電流を流して、不整脈の原因となっている部分を焼き切って破壊するというもの。

 しかし、熱を用いたこの治療法には課題もある。①治療できる深さに限界があること、②血栓塞栓症につながる心内膜(心臓の内側の膜)の損傷、③長引く炎症とそれによる不整脈の再発―などだ。

 そこで、研究グループは 高周波に代わって、熱を用いない、より安全な方法を模索。衝撃波という音速を超える圧力波を用いた「衝撃波アブレーション」治療の研究開発に取り組んできた。

 そして今回、改良を重ねてきた衝撃波アブレーション法の有効性を確認するため、ブタ36頭を用いた実験を行った。

 その結果、衝撃波アブレーション法は、到達可能な深さが5.2mm(最大13 mm)と、従来の高周波アブレーション法よりも深い位置まで治療ができ、さらに深度の調節も可能であった。

 続いて、電子顕微鏡を使って、衝撃波アブレーション法と高周波アブレーション法による心内膜損傷の程度を比較した。

 高周波アブレーション法では、心内膜の剥離などの損傷面積が79.6%と広範囲に見られたが、一方の衝撃波アブレーション法では4.3%と明らかに小さかった。しかも、損傷部位の炎症の回復が早まり、不整脈が再発するリスクは大幅に低下した。

 研究グループは、「改良を重ねてきた衝撃波アブレーション法の安全性と有効性が、動物実験により実証された」と今回の結果を評価。「衝撃波アブレーション法は、今後の不整脈治療において、有力な選択肢となることが期待される」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)