2017年08月31日 06:00 公開

緑内障患者の救世主は、みかん?

 自覚症状に乏しく、気付かぬうちに進行すると視野が欠けてしまう「緑内障」は、中高年になると増えてくる。東北大学大学院医学系研究科眼科学分野の中澤徹教授らの研究グループは、このほど、緑内障の新しい治療法につながりうる研究結果を発表した。みかんなどのかんきつ類に多く含まれているポリフェノールの一種「ヘスペリジン」という栄養素が、目の網膜の内側面にある網膜神経節細胞を保護する効果を示すことが、マウスの実験で明らかになったという。詳細は、7月31日発行の医学誌「Scientific Reports」(電子版)に掲載されている。

ヘスペリジンの神経保護作用を確認

 緑内障は、眼圧が上昇して網膜神経節細胞と視神経が障害され、視野が狭くなってしまう病気だ。40歳以上の20人に1人がかかっていると報告され、日本人の中途失明原因の第1位にもなっている。

 緑内障に対して科学的根拠のある治療とされているのは、今のところ眼球内の圧力を下げる眼圧下降療法のみだ。点眼薬やレーザー、手術などによって眼圧を下げて、病気の進行を防止したり、遅らせたりする。

 ところが、日本の緑内障患者の多くは眼圧が正常範囲である正常眼圧緑内障であり、眼圧下降以外の治療法の開発が求められている。

 そこで、研究グループは、眼圧以外で緑内障に影響を与える因子として酸化ストレスに着目。酸化ストレスは近年では、緑内障の発症や進行への関与が注目され、血液中の抗酸化力が低い緑内障患者は、緑内障が重症化する傾向があると言われている。

 まず、41種類の食品成分に関して、培養したマウスの網膜細胞において抗酸化作用を発揮する素材を調べた。その結果、みかんの皮に含まれるポリフェノールの一種である「ヘスペリジン」が最も高い抗酸化作用を持つことが分かった。

 続いて、神経を興奮させる薬剤を眼内に注射して網膜障害を起こしたマウスを準備。それらにヘスペリジンを投与したところ、ヘスペリジン非投与のマウスに比べて、生き残った網膜神経節細胞の数が明らかに多かった。

 この結果について、研究グループは「ヘスペリジンが酸化ストレスを軽減させることで、網膜神経節細胞死を抑制していると考えられる」と説明。さらに、「ヘスペリジンが持つ抗酸化作用が、緑内障治療の一助となるかもしれない」と期待を寄せた。

(あなたの健康百科編集部)