2017年09月22日 06:00 公開

薬剤耐性問題を知ろう!

世界で増加、大きな問題に

 抗菌薬(抗生物質)が効きにくくなる「薬剤耐性(AMR)」をご存じだろうか。細菌は、殺菌作用がある抗菌薬から生き延びようと、あの手この手で進化を重ねてきた。今、抗菌薬が効きにくい薬剤耐性を持った細菌が世界的に増え、大きな問題になっている。国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは、9月20日に「知ろうAMR、考えようあなたのクスリ 薬剤耐性」を公式サイトに公開した。そこではこの問題の原因や予防法などを図で分かりやすく紹介している。

決められた期間に適切な量を飲まないが一因

 薬剤耐性菌が体内で増えると、抗菌薬が効きにくくなり、感染症が重症化したり、それによって死亡したりする可能性が高くなる(図1)。

図1. 薬剤耐性菌が増えるとどうなるの?

(AMR臨床リファレンスセンターリリース)

 AMR臨床リファレンスセンターによると、薬剤耐性によって抗菌薬が効かずに死亡する人は、世界で70万人に上るという。また、予防策を講じなければ、2050年には薬剤耐性菌によって死亡する人は1,000万人と予測されている。これは、現在820万人とされるがんによる年間死亡者数を超える数字である。

 薬剤耐性菌が生まれた原因の1つは、決められた期間や量を守らない不適切な抗菌薬の使用にある。抗菌薬の中途半端な使用によって、わずかにいた薬剤耐性菌が生き残ったり、また病原菌が変化したりして薬剤耐性菌が増えてしまうのだ。

 ちなみに、抗菌薬が薬剤耐性を獲得するメカニズムは、①細菌自体を覆っている膜を変化させて、抗菌薬を入りにくくする②抗菌薬が作用する細菌内の一部分を変化させ、効果が出ないよう変えてしまう③バイオフィルムと呼ばれる大量のネバネバ液で細菌自体を覆い、抗菌薬から身を守る-など。

「抗菌薬は人にあげない、もらわない」

 2015年5月、WHO(世界保健機関)は加盟国に対し、2年以内に薬剤耐性菌対策の計画をつくるよう求めた。

 日本では、昨年(2016年)4月に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 2016-2020」として、6つの取り組みがまとめられた。その中には、前述の抗菌薬の適正使用や、薬剤耐性菌についての啓発や教育も含まれている。

 AMR臨床リファレンスセンターが公開した「知ろうAMR、考えようあなたのクスリ 薬剤耐性」では、私たちができる薬剤耐性予防として、①抗菌薬は医師の処方が必要②医師の指示通り飲みきる③取っておいて後で飲んだりしない④抗菌薬を人にあげない、もらわない⑤分からないことは医師や薬剤師に聞く⑥手洗い、うがいなどで感染症を予防しよう-を紹介している(図2)。

図2. すぐにできる薬剤耐性予防は?

(AMR臨床リファレンスセンターリリース)

(あなたの健康百科編集部)

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