2017年09月27日 06:00 公開

「ポケモンGO」で心が健康に

 昨年(2016年)7月に配信が開始されて以降、世界中に爆発的に普及した「ポケモンGO」。この新しいスマホゲームアプリが心の健康改善に効果的であることが、東京大学精神保健学分野の渡辺和広氏、同分野教授の川上憲人氏らの研究によって明らかになった。この結果は科学専門ジャーナル「Scientific Reports」(電子版)に発表された。

インターネット上で調査

「ポケモンGO」は、現実世界でポケモンを捕まえて育てられるかのような体験できるなど、これまでのゲームと違う新しさがあったため、配信後8週間で世界累計5億ダウンロードを記録するほどの爆発的な人気となった。

 このゲームでは、プレイをするために外出して一定の距離を歩かなければならないことから、運動不足の解消に役立つという健康面でのプラス効果のほか、交通事故や住居侵入が増えるというマイナスの効果などが挙げられていた。心の健康に対する効果については、引きこもりを解消するなどの意見があったが、科学的な研究に基づくものではなかった。

 そこで、渡辺氏らは「ポケモンGO」が日本に住む労働者の心の健康に与える影響について検討した。

心理ストレス反応が改善

 渡辺氏らは2015年11月に、日本に住む正規雇用労働者2,530人(年齢20~74歳)を対象にインターネット調査を実施。職場のストレスを評価する職業性簡易ストレス調査票を用いて、気分の落ち込み、不安、疲労感など、負荷がかかった際に生じる心の反応(心理的ストレス反応)を調べた。また、その約1年後の2016年12月に、同じ対象にインターネット上で「ポケモンGO」を1カ月以上継続してプレイしたことがあったかどうかを質問し、「はい」と答えた者をプレイヤー群(246人)、「いいえ」と答えた者をノンプレイヤー群(2,284人)とした。さらに全員の心理的ストレス反応を調査し、両群で約1年間の変化に違いが見られるかどうかを見た。

 2015年11月時点と1年後の職業性簡易ストレス調査票の点数(点数が低いほど心の状態が良い)を比較すると、プレイヤー群では心理的ストレス反応が減少し(42.00点→39.86点)、心の健康状態が改善する傾向にあった。その一方で、ノンプレイヤー群の心理的ストレス反応の変化はほぼ横ばい(40.38点→40.40点)だった。プレイヤー群は、ノンプレイヤー群に比べて明らかに改善していた。

 渡辺氏らは「今回の研究は、『ポケモンGO』が心の健康に与えるプラスの効果を科学的に示した、世界で初めての研究である。『ポケモンGO』が広く普及していることを考慮すると、労働者の心の健康の保持・増進に大きなインパクトがあると考えられる」と述べている。

(あなたの健康百科編集部)