2017年11月06日 06:00 公開

睡眠中にセックスする「セクソムニア」

 睡眠中に、自覚なしにパートナーなどと性行為をしてしまう...こんな睡眠障害があるのをご存知だろうか?「Sexsomnia(セクソムニア、睡眠時性的行動症)」と言われる病気で、日本ではまだ認知度が低いが、欧米では症例報告やエビデンスが蓄積されつつある。本人の悩みやパートナーとの関係悪化だけでなく,時に性犯罪につながる危険性をはらむ深刻な現状が浮き彫りになってきたという。

大半が性行為の記憶なし

 10月7~11日にプラハで開かれた世界睡眠会議(World Sleep 2017)では、米・University of MinnesotaのCarlos H. Schenck氏が、セクソムニアに関する世界の症例報告をレビューし、その実態と治療法について解説した。

 Schenck氏らは、1986~ 2015 年に発表されたセクソムニアの症例報告42報、49例を解析した。その結果、患者は男性が75.5%を占め、平均年齢34.8歳、罹病期間は7.3年であった。セクソムニアの内訳は、マスターベーション(24%)、性的発声/発言(19%)、ベッドパートナーへの性的愛撫(37%)、性行為(49%)など。

 49例のうち96%は睡眠時の性的行動の記憶を喪失しており、中には13年間気付かず、妻の告白によって診断に至った例もあった。

 また、攻撃的行動が37%、未成年との睡眠時性行為20%、法的問題に至ったものは24%の患者で確認されている。

 最終的な診断で、病因はノンレム覚醒障害が86%(夢遊病を有する3例を除き、錯乱性覚醒)、錯乱性覚醒の引き金となっている閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)例が14%を占めた。

 抗てんかん薬やCPAPが効果を示す

 セクソムニアに対する治療としては、就寝時に抗てんかん薬の一種のクロナゼパムを服用することや、持続陽圧呼吸療法(CPAP:睡眠中に呼吸補助マスクを着用する治療法)の効果が示されている。

 セクソムニア発症の引き金としては、①シフト勤務(交代勤務)②抗うつ薬の一種のエスシタロプラムの服用-などがあり、パーキンソン病とその治療薬であるドパミン作動薬や、思春期の性的トラウマとの関連を示唆する報告もあった。

 一方で、抑うつ症状を合併している例などでは、比較的新しい抗うつ薬(SSRI)であるエスシタロプラムが有効であったこと、就寝時の服薬を抗てんかん薬ラモトリギンに変更したところ、4年にわたり効果が持続したことなども報告されている。

 診断基準の確立が求められる

 セクソムニアは、世界的に見ても医療者の間でさえまだ認知度は低いのが現状だ。Schenck氏は、セクソムニア研究の限界として、症例報告が極めて限られることや、明確な診断基準・システムが確立していないことなどを挙げている。

 最後に、同氏は「発作性を含めたセクソムニアに関連する素因・増悪因子などの要因や、法的事態も含めた転帰の全貌をよりよく理解するために、領域を横断した多方面からの研究が求められる」と結んだ。

(あなたの健康百科編集部)