2017年11月27日 06:00 公開

心房細動、早く発症しやすいのは男?女?

 心臓上部の心房部分が速く不規則に動く「心房細動」は、不整脈の1つで、高齢者によく見られる病気だ。このたび、ドイツの研究グループが、男性は女性よりも若年で心房細動を発症するとの研究結果を報告した。研究の詳細は、10月24日発行の医学誌「Circulation」(2017;136:1588-1597)に掲載されている。

男性50歳以降、女性60歳以降に急上昇

 心房細動は、放置すると心臓内で血栓という血の塊ができる。その血栓が脳に流れると、脳梗塞を引き起こす危険がある。治療をしないと、脳卒中のリスクが5倍に、死亡リスクは3倍以上になるという報告もある。そんな心房細動だが、発症における性差についてはこれまで明らかにされていない。

 そこで今回、研究グループは、欧州で行われた複数の関連する研究データを基に、心房細動の発症状況、リスク因子、死亡率などの性差、類似点について検討した。

 分析対象となったのは、研究参加者のうち、研究開始時に心房細動と診断されていない7万9,793人で、女性が51.7%を占めた。研究参加時の年齢は中央値49.6歳、追跡期間の中央値は12.6年(最長28.2年)だった。男性に比べて女性は肥満指数(BMI)、最高血圧、喫煙率が低く、アルコール摂取は少なめ、糖尿病や心血管疾患にかかっている率は低かった。総コレステロールやC反応性蛋白(CRP)は男女で同等だった。

 追跡期間中に、心房細動が女性1,796例(4.4%)、男性2,465例(6.4%)に起こり、発症率は女性の方が明らかに低かった。追跡期間中に心房細動を発症する確率は、男性で50歳以降、女性で60歳以降に急上昇し、90歳では男女同等になった。

 一生のうちに心房細動を発症するリスクは男女とも30%を超えていた。男女ともに心房細動のない場合と比べて、心房細動のある人では、死亡率が3.5倍高かった。

男性で体重管理は不可欠

 一般的な心房細動のリスク因子(肥満、高血圧、総コレステロール高値、毎日の喫煙、糖尿病、アルコール摂取、心筋梗塞歴、脳卒中歴)のうち、肥満には心房細動の新規発症との強い関連が見られ、その関連は男性でより強いものだった。

 一方、総コレステロール値は、高いと心房細動の発症リスクが低いという関係性が見られ、そのリスク低下は女性でより大きかった。CRPについては、性差は見られなかった。

 一般的な心房細動のリスク因子によって5年間のうちに心房細動を発症した人の割合は、女性で41.9%、男性で46.0%であった。

 今回の研究から、一生のうちに心房細動を発症するリスクは男女ともに高いことが示された。中でも男性では、肥満があると心房細動を発症しやすく、肥満対策をとる必要性がある。

 これらを踏まえ、研究グループは「心房細動のリスク因子には男女差が存在する。それを理解することが、心房細動に関連する死亡や医療費増への長期的予防策を展開していく上で不可欠だ」と強調している。

(あなたの健康百科編集部)