2018年02月02日 06:00 公開

いつでも、だれでも、どこでも測定可能に

カフレス血圧測定の技術を開発

 血圧といえば、以前は病院で医師や看護師に測ってもらうものだった。しかし最近では、家庭で測る「家庭血圧」が重要視されている。家で毎日、血圧を測っているという人も多いのではないか。この度、名古屋大学大学院の室原豊明教授らの研究グループが、血圧の測定時に腕に巻く帯状の腕帯(カフ)を必要としない血圧測定技術の開発に成功したと発表。この成果は、科学雑誌「Journal of the American College of Cardiology (JACC): Basic to Translational Science」(2017;2:631-642)に掲載されている。

カフレスの精度が基準をクリア

 血圧という概念が発見されたのは、今から約120 年前。それ以来、血圧測定は診察室で行われる聴診法や、現在の家庭血圧計に応用されている脈波を基にしたオシロメトリック法により行われてきた。

 血圧の変化は、脳血管や心血管の病気の発症リスクになることが知られている。そのため、血圧の管理は脳心血管病の予防に不可欠となる。中でも、家庭での自己測定は、自宅で測定しなければ分からない血圧の状態があることから重要視されている。

 これまでの血圧測定は、聴診法でもオシロメトリック法でも、腕にカフを巻くことが測定の必要条件となっている。そのため、入浴時や運動時には測定ができないこと、カフの締め付けによる睡眠中の不快感、測定誤差の発生といった問題点が指摘されてきた。

 もし、カフの要らない方法で血圧測定が可能になれば、今まで測定が難しかった状況でも測定可能となり、血圧変化の「見える化」が実現する。

 そこで研究グループは、カフの不要な「カフレス血圧測定」の技術が、実際に臨床で応用可能な精度を保っているか検証した。カフレス血圧測定は、LEDの光(波長940nmの赤外線)を指先に当て、センサーで検出した脈波から血圧を推定するという新しい技術だ。

 健常者と、循環器内科へ通院中、または入院中の患者を対象に、従来のカフ式およびカフレス式で同時に血圧を測定。カフレス血圧値が、3つの異なる条件下で行う精度評価試験[①安静試験、②血圧変動(上昇・低下)試験、③長期再現性試験]の判定基準を満たしているかを調べた。その結果、カフレス血圧値は、要求される全ての試験において、精度基準をクリアしていた。

 さらに、睡眠時の血圧測定による不快感についてのアンケートでは、入眠時のカフによる不快感を軽減することが明らかとなった。

 研究グループは、今後の展開について「カフレス血圧測定技術の開発は、身に付けて利用できるウェアラブル血圧計の開発に直結する。そのため、さまざまな状況での血圧の『見える化』を実現する」とコメント。「高血圧患者の脳心血管病予防のみならず、血圧の自己測定が難しい要介護者が診察室以外で血圧を測定したり、遠隔医療システムへの応用により予防医療に貢献したりすることが可能になる」と期待感を示した。

(あなたの健康百科編集部)