2018年03月02日 06:00 公開

血液検査で8種類のがん発見可能に

 がんによる死亡を減少させるには、早期発見が重要だ。米国ジョンズ・ホプキンス大学などの国際共同研究グループは、先ごろ、新たながんの検査法の開発に成功したと発表した。1回の血液検査で8種類のがんの有無を判定し、さらにはがんの部位も特定できるという。詳細は、1月18日の科学誌「Science」(オンライン版)に掲載されている。

がん患者で検証、感度は70%

 開発したのは「CancerSEEK」と呼ばれる検査法。1回の血液検査で、がんに関連する16種類の遺伝子変異と8種類のタンパク質を調べることができる。

 血液などの体液サンプルを使って、がん関連マーカーである遺伝子変異やタンパク質などを調べる検査は「リキッドバイオプシー」と呼ばれ、近年研究が盛んだ。しかし、現在行われている研究の多くは、進行がん患者の治療計画に生かすための検査に関するもので、がんの早期発見に有効なマーカーの測定はきわめて難しいと考えられてきた。

 そこで研究グループは、数百種類の遺伝子変異と40種類のタンパク質の中から、特にがんの発見に役立つ16種類の遺伝子変異と8種類のタンパク質に絞り込みCancerSEEKを開発した。つまり、CancerSEEKはがんのスクリーニングに役立つ遺伝子変異やタンパク質のみを測定する検査であり、治療の標的を定めるために数多くの遺伝子変異を調べる検査とは異なるという。

 研究グループは、開発したCancerSEEKの精度を確認するため、卵巣、肝臓、胃、膵臓、食道、大腸、肺、乳房のいずれかにステージ1~3のがんがある患者1,005人を対象に検査を実施した。その結果、CancerSEEKで正しく「陽性」が出る確率(感度)は、中央値70%だった。ただし、がんの種類によって差が大きく、卵巣がんは98%と高率に検出できたのに対して、乳がんは33%と低かった。また、今回対象とした8種類のがんのうち、現在有効なスクリーニング法がないとされる5種類のがん(卵巣、肝臓、胃、膵臓、食道)については、感度が69~98%だった。

 スクリーニング検査で重要なのは、初期の段階でがんを検出することだ。対象患者をがんのステージ別に分けたところ、ステージ3、2、1の感度は、それぞれ78、73、43%だった。また、ステージ1のがん患者では、がんの種類により感度が異なり、最も高かったのは肝臓がんの100%で、最も低かったのは食道がんの20%だった。

 続いて、がんではない男女812人から採取した血液を使ってCancerSEEKの精度を調べたところ、誤って「陽性」と出てしまう確率(偽陽性率)は1%未満だった。

 さらに、機械学習という手法を用いて分析すれば、CancerSEEKはがんの部位を特定できるという。研究グループは、患者の83%でがんの部位を正確に特定できたとしている。

 研究グループは、今後について「今回の研究では、既にがんと診断されている患者を対象とした。しかし、がんの早期発見を目指したスクリーニング検査法としての有効性を確認するには、がんではない人を対象としたさらなる研究が必要だ」と課題を示した。加えて「CancerSEEKの実用化を目指すには、費用の問題も重要。既に普及している大腸内視鏡検査と同等、もしくはそれ以下に抑える必要があるだろう」と述べた。

(あなたの健康百科編集部)