2018年03月12日 06:00 公開

ひきこもりに関連する血中物質を発見

 自宅にひきこもって学校や仕事に行かずに、家族以外との親密な対人関係がない状態が半年以上続いていることを、「社会的ひきこもり」(以下、ひきこもり)と呼ぶ。このひきこもりに関して、心理的・社会的側面だけでなく、"生物学的"因子も関連する可能性が初めて示された。九州大学らの研究グループが、国際科学雑誌Scientific Reports(2018年2月13日オンライン版)に発表した。

ひきこもりの病態解明の進展に期待

 日本では、ひきこもりの人は15歳から39歳に限っても50万人を超すとされる。さまざまな心理社会的な支援や治療介入がなされているが、いまだ抜本的な解決策は見出されていない。

 今回、九州大学病院精神科神経科教授の神庭重信氏らによる国際共同研究グループは、同院に開設された世界初の「ひきこもり研究外来」を受診した、現在6カ月以上ひきこもり状況にある患者と、年齢をマッチさせたひきもりではない健康ボランティアから採血を行い、ひきこもり傾向に関連する血中物質を探索した。

 その結果、男性のひきこもり者では血中の尿酸値が、女性のひきこもり者ではHDLコレステロール(HDL-C)値が、健常人と比べて有意に低下していた。

 また研究グループは、ひきこもりではない大学生ボランティアに対して、問診と採血、回避性パーソナリティ障害を評価するための質問票と対人関係における行動特性をみるための「信頼ゲーム」を行った。すると、男子学生ではHDL-C値が低いほどひきこもり傾向が強く、尿酸値とHDL-C値が高い人ほど相手を信頼する協調行動をとることが分かった。女子学生では、炎症マーカーとして知られる高感度CRPが高いほど相手を信頼せず、凝固系マーカーのFDP(フィブリン分解産物)の値が高いほどひきこもり回避傾向が強かった。

 同氏らは「本研究は、心理社会的側面以外に生物学的因子がひきこもり傾向と関連する可能性を示す初めての報告である。ひきこもりの病態解明が進展するばかりでなく、ひきこもりの予防、早期介入、栄養療法などの治療法開発に貢献することが期待される」としている。

(あなたの健康百科編集部)