2018年05月08日 06:00 公開

脳梗塞に"気をつけたい季節"はある?

国立循環器病研究センター

 心臓病や脳卒中の1つである脳出血は、冬に起こりやすいことが知られている。しかし、同じく脳卒中に分類される脳梗塞については、注意すべき季節が分かっていなかった。国立循環器病研究センター副院長で、脳血管部門長の豊田一則氏らは、同センターの患者データベースを基に検討、脳梗塞と季節の関係性や発症した季節による重症度の違いなどが分かった(Circ J 2018;82: 1443-1450)。

脳梗塞による入院は秋にやや少ない

 対象は、2011~2015年の5年間に国立循環器病研究センターで入院治療を受けた急性期脳梗塞患者例2,965例(年齢中央値75歳、女性1,170例)。患者が入院した季節〔冬(12~2月)、春(3~5月)、夏(6~8月)、秋(9~11月)〕に分けて、①年齢(75歳超)②脳梗塞の中でも心房細動という種類の不整脈が原因で起こる心原性脳塞栓症の割合③入院時の重症度―を詳しく調べた(図1)。

 入院件数は秋でやや少なかったが、季節による明らかな差はなかった。しかし、75歳超の患者と中等症~重症の患者はともに冬に脳梗塞を発症し、入院する割合が顕著に高かった。その要因として、心房細動が冬に多く生じること、心原性脳塞栓症の症状は高齢患者で重いことが考えられた。

図1. 季節ごとの脳梗塞患者の割合

冬、春に発症した患者は中等症~重症が明らかに多い

 さらに、脳梗塞患者を年齢と性別で調整したところ、秋に発症した患者に比べて、冬や春に発症した患者で中等症~重症例が明らかに多いことが分かった(図2)。脳梗塞を発症してから1年後の状態を見ると、冬に発症した患者でやや不良だったが、顕著ではなかった。死亡した割合については、秋に比べて夏に発症した患者で高かった。

図2. 入院時の重症度と1年後の転帰


脳梗塞は季節にかかわらず注意したい病気

 今回の検討からは、心房細動などの心臓病を原因とする心原性脳梗塞は、他の全身血管病と同様に冬の病気と言えそうだ。一方、脳の血管の動脈硬化を原因とするタイプの脳梗塞は、暑い季節など脱水状態を機に起こりやすい。つまり脳梗塞は、どの季節にも一定の割合で起こっており、1年を通して注意を払うべき病気なのだ。

 もし、脳梗塞を起こした場合、重い後遺症を残さないためにはどうしたらよいだろうか。国立循環器病研究センターは、脳梗塞が起こったときに現れる症状(FAST)を漫画で紹介(図3)。顔(Face)の麻痺や腕(Arm)の麻痺、言葉(Speech)の障害から脳梗塞を疑ったら、発症時刻(Time)を確認してすぐに救急車を呼ぶよう啓発している。

図3. 脳卒中が疑われる症状


(図1~3とも国立循環器病研究センターリリース)

(あなたの健康百科編集部)