2018年05月09日 06:00 公開

えっ、痩せている私が糖尿病に!?

 「太っていないし、糖尿病なんて無縁だわ」と思っていませんか。しかし、痩せているからといって安心はできない。太った女性と同様、痩せている女性も糖尿病のリスクが高いというのだ。でも、一体なぜ? この疑問を解く研究結果が、順天堂大学の研究グループから報告された。BMIが18.5(身長が155cmなら、体重44kg)未満と痩せている女性でも血糖値が高くなる原因として、筋肉の量や質の低下が考えられるという。研究の詳細は、3月1日発行の医学誌「Journal of the Endocrine Society」(2018;2:279-289)に掲載されている。

若年13%、閉経後37%が糖尿病予備軍

 近年、肥満が問題視されている一方で、女性の痩せ(BMI18.5未満)が世界的に問題となっている。特に日本は、先進国の中で女性の痩せ傾向が最も進んでいる国の1つで、日本人女性の8人に1人、20代女性の5人に1人以上が「痩せ」と判定されている。

  痩せていても健康とは限らない。これまでの研究から、痩せた女性は太った女性と同様に、糖尿病の発症リスクが高いことが分かっている。今後、痩せ傾向が続けば、新たな病気の発症につながるかもしれない。

  しかし、なぜ痩せた女性の糖尿病発症リスクが高いのかについては、不明な点が多い。そこで研究グループは、痩せた女性(BMI16.0~18.5)を対象とした研究に着手した。

  まず、痩せた女性の割合が最も高い若年層と、糖尿病の発症リスクが高まる閉経後の年代層に着目。20代の痩せた女性31人と、閉経している50~65歳の痩せた女性30人を対象に、糖尿病の判定時に実施する75g経口ブドウ糖負荷試験、筋肉や脂肪の量の測定などを行った。

  その結果、閉経後の女性では、糖負荷2時間後の血糖値が140mg/dL以上と高めな「糖尿病予備軍」の割合が37%と、20歳代女性の13%に比べて高かった。閉経後女性と同年代の女性の糖尿病予備軍の割合は17%程度であり、それと比較しても高い割合となっていた。

筋肉量の低下、筋肉への脂肪の蓄積が高血糖に関連

 さらに、痩せた閉経後女性が高血糖を生じやすい要因について分析した。すると、血糖値を調整するインスリンというホルモンの分泌量が少ないことに加え、全身の筋肉量が少ないこと、筋肉の中に脂肪がたまっていることなどが高血糖と関係していた。

 筋肉は、体の中でもブドウ糖を貯蔵する最大の臓器だ。痩せていて筋肉量が少ないと、食後に十分な量のブドウ糖を筋肉に取り込めず、高血糖を生じやすいと考えられる。また、筋肉内に脂肪が蓄積すると、筋肉の質が低下。インスリンの効きを悪くさせ、ブドウ糖を筋肉にうまく取り込めず高血糖となる可能性がある。つまり、痩せた女性の中には筋肉の量や質が低下している人がいて、そのような女性は糖尿病の発症リスクが高まるのだ。

 痩せと糖尿病発症との因果関係については、いまだ不明な部分もある。研究グループは「今後は、痩せを改善するような介入研究を通して検証を進めていく」とコメント。さらに「痩せは糖尿病に限らず、無月経や骨粗鬆症といった病気とも関連するため、適切な是正が肝心だ。バランスの取れた食事を適量とること、筋肉の量や質の維持と改善に有効な運動をすることが重要だ」としている。

(あなたの健康百科編集部)