もちを喉に詰まらせるお年寄りの事故は多い。処置が遅れると窒息死につながるだけに、適切な対応が欠かせない。いざというときに慌てないために、家庭でできるもちの除去法を中心に、注意すべきことを専門医に聞いた。
指でかき出す方法も
――もちを喉に詰まらせるお年寄りが多いようですね。
「総じてお年寄りは、食べ物を嚥下(えんげ=のみ込む)する働きが低下しています。ご飯などは普通に食べられても、もちのように一定の大きさがある上、粘着性の強い食べ物は、喉に詰まらせやすいのです。それでも、嚥下機能が極端に衰えているお年寄りの場合には、家族の人が注意して食べさせるので、それほど問題はありません。むしろ、比較的元気なお年寄りほど無理をして大きなもちを食べ、それを喉に詰まらせやすいようです」
――詰まったときには?
「若い人なら、たとえもちが喉に詰まってもせきをすれば出せますが、お年寄りは生体反応が鈍くなっているので、喉の奥からもちをうまく吐き出せません。通常は、首に手をやって苦しがったり、口を大きく開けて空気を吸おうとしたりします。こうした動作は呼吸困難のサインなので、周りの人は即座に応急処置をすべきです」
――どんな応急処置を?
「まず頭を低くさせて、背中をたたく。それでももちが出てこないときは、口の中をのぞいて、指で取れるようなら指でかき出すとよいでしょう」
ハイムリッヒ法習得を
――完全に詰まっているときは?
「声が出ません。そのときは、迷わず救急車を呼ぶべきです。救急車が来るまでの間に、ハイムリッヒ法という患者の腹部を圧迫して気道から詰まった食べ物を除去する方法や、胸骨を圧迫する胸郭圧迫法を行うとよいでしょう」
――ほかに方法はありますか?
「家庭用の電気掃除機で吸引して命が助かったお年寄りがいます。掃除機の床用装着部を外した吸引管の先端を口の中に挿入して、詰まっているもちを吸引するのです。吸引管が口の中に挿入できないと除去できないので、最近は掃除機の吸引管に接続可能な専用の吸引ノズルも開発され、市販されています。商品名を『IMG吸引ノズル』(イマムラ)といいます」
――日ごろから心掛けておきたいことは?
「いずれの応急処置も的確に行うためには、日ごろから救命医療の講習会に参加するなどして、その手技を習得しておいてください」
1996年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)