増える逆流性食道炎

2011年9月30日 17時30分 掲載

増える逆流性食道炎

胸焼けや胸痛、のどの痛みも―大抵は薬で治る

 欧米人に多い病気とされてきた逆流性食道炎が日本人にも増えてきている。虎の門病院(東京都)消化器外科の木ノ下義宏医長は「胸焼けを筆頭に、胸痛やのどの痛みなどさまざまな不快な症状が現れるが、大抵は服薬で治ります」と言う。我慢せずに病院を訪ねたい。

食の欧米化が一因

 逆流性食道炎は、胃の内容物が食道に逆流し、胃液によって食道粘膜に炎症が起きた状態。日本人には少なかったが、欧米同様の脂肪の多い食習慣となったことで、このところ増えている。高齢化の影響も大きい。

欧米食

 「胃と食道の境界にある括約筋は逆流防止弁の役割を果たしているが、高齢者や肥満傾向の人は緩みやすくなる。また、本来は横隔膜より下にあるべき胃が胸の方に持ち上がり、逆流を起こしやすい食道裂孔(れっこう)ヘルニアと呼ばれる状態になるのです」と木ノ下医長。

 最も代表的な症状は食後に起こる「熱いような感じ」「むかむかする」「何となくもやもやする」という胸焼けだが、胃液が口まで上がり、のどの痛みやせき、ぜんそくに似た症状として現れることもある。胸痛の訴えで心筋梗塞(こうそく)や狭心症を疑ったが、逆流性食道炎だったというケースも珍しくない。

 内視鏡検査で食道の炎症がないかどうか、エックス線検査で胃の位置、食道pH(ペーハー。水素イオン濃度)検査で胃酸逆流の程度などをそれぞれ観察して診断を行うが、炎症と症状の程度が必ずしも一致しないのもこの病気の特徴だという。

がんに移行する恐れも

 木ノ下医長は「日本人には、食道がんとの関連が強いタイプ(バレット食道)は少ないとされているが、逆流を繰り返すうちにこのタイプに移行するという報告もあり、放置したままというのは感心できません」と話す。

 逆流性食道炎には、喫煙や飲酒も悪影響を及ぼす。このため、生活習慣を改善したうえで、胃酸の分泌を抑える薬剤(プロトンポンプ阻害薬[YF1] が一般的)を服薬することで大抵の症状は治まる。

 虎の門病院では、患者の約8割は生活習慣の改善と薬物だけで治癒している。ただ、裂孔ヘルニアが大きい場合などは早期の手術を行っており、腹腔(ふくくう)鏡を使った手術なら傷も小さく、1週間程度の入院で済むという。


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