新学期前にワクチンを! 「輸入はしか」増加中
2012年2月22日 17時30分 更新
新学期前にワクチンを! 「輸入はしか」増加中
今年に入ってはしか(麻疹)の報告者数が47例と昨年を上回るペースで増加していることが国立感染症研究所情報センターの調べで明らかになっている(関連記事)。愛知県では7例の発生が報告。うち6例は麻疹と三日ばしか(風疹)の二種混合(MR)ワクチンを接種していなかったという。同センター第三室の多屋馨子室長は、小社の取材に対し「2回目の定期接種(第2~4期)の対象期間があと1カ月と少ししかない子供も多い」と懸念を示し、新学期が始まる前にワクチンを接種するよう呼び掛けた。また、欧州では麻疹の流行も続いているほか、国内では30歳代男性を中心に風疹も流行中だ。海外由来とみられる「輸入はしか」の報告が相次いでいることから多屋室長は、定期接種の対象でなくても「海外に渡航する前にはMRワクチンを!」と呼び掛けている。
渡航歴、ワクチン歴ない子供から多く検出
日本では2012年度を麻疹排除達成の目標としており、現時点で世界保健機関(WHO)が定めるサーベイランス体制の強化や国内株の伝播が見られないことといった麻疹排除の定義を満たしつつある。
一方、今年に入ってからも輸入麻疹例の報告が各地で相次ぎ、2月15日現在で47人に達している。昨春に多く報告されたのが欧州からの輸入株(D4型)だったのに対し、今年は今のところD8型が多くを占めている(表)。D8型はネパールやインドからの輸入株とされている。

2月20日の感染研速報には、同じ小学校に通う11歳男児、12歳女児、14歳女児の兄のほか、近隣に住むが濃厚接触歴が確認できない4歳女児の報告と、父親からの二次感染とみられる1歳男児、別の1歳男児、6歳女児の報告が同時に取り上げられている。発症者はいずれも渡航歴がないほか、MRワクチン接種歴なし、あるいは確認できていないことが明らかになっている。
報告を行った愛知県衛生研究所によると、その後の詳しい検査の結果、全例ともに1月、千葉県で報告されたD8型麻疹ウイルスと同じものであることが認められたという。D8型は2009年に沖縄県で初めて検出された輸入株で、以来、国内でも散発例が見られている。
中1と高3の追加接種は来年3月まで
日本では、2006年からMRワクチンの2回(第1期:1歳、第2期:小学校入学前)接種が開始された。08年からは当時すでに対象年齢を過ぎていた子供に対し、第3期(13歳、中学1年生相当)、第4期(18歳、高校3年生相当)の接種を勧奨する時限措置が継続中だ。この措置は2012年度末(2013年3月)で終了する。
この時限措置開始以降、2010年には国内の患者数は96%減少(図)。しかし、08年からの3年間、第3期、第4期の接種率は90%を達成できていない。少なくとも、毎年20万人程度が2回目のワクチン接種を逃したと考えられるという。その上で、麻疹排除を目前にしながら2010年以降流行が再燃している欧州の状況は、決して対岸の火事ではない。

多屋室長は「小学校入学前、中学1年生、高校3年生相当年齢の人の、定期接種の期間はあと約1カ月。この人たちへの啓発が今まさに必要」と、2回目のMRワクチン接種の重要性を強調する。さらに、風疹の流行も心配であるとして「海外渡航の機会のある人は、その前にMRワクチンの接種を終えているかどうかを確認してほしい」としている。
(編集部)



