炭水化物を一切食べないダイエットって安全?

炭水化物を一切食べないダイエットって安全?

たかひろ(男性 30代)

2012年2月21日 掲載

炭水化物を一切食べない健康法があると聞いたのですが、
人は炭水化物を取らなくても生きて行けるのでしょうか。



炭水化物を一切食べないで生きて行くことはできません。「炭水化物を一切食べない」ことはとても危険です。

 「炭水化物」というと「ご飯」を思い浮かべる方が多いでしょう。ダイエットの大敵と考えられている炭水化物ですが、実はとても重要な役目を果たしているのです。

 まずは、「炭水化物」についてご説明します。炭水化物には消化吸収されるもの(糖質)とされないもの(食物繊維)があります。糖質は、お砂糖や果物などの甘い物だけでなく、ご飯やパン、麺類、お芋などにもでんぷんとして含まれています。脂質と比べて燃焼が早く、体に吸収されるとすぐにエネルギーになり、脳や体を動かす大切なエネルギー源になります。

 肝臓や筋肉ではエネルギー源として利用されるほか、グリコーゲンとして蓄えられます。蓄えられたグリコーゲンは、体内でエネルギーが必要になった時に分解されて、筋肉や脳が活動するときのエネルギーになります。このほか、脂肪やアミノ酸の材料にもなります。

 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、18歳以上の場合、1日に必要なエネルギー量のうち50~70%を炭水化物から取るように目標値を定めています。

 炭水化物を取り過ぎると、余分な糖質は体脂肪として蓄えられるので、太る可能性があります。 一方、不足するとエネルギー不足で、疲れやすくなります。

 そして何よりも、糖質は脳の唯一のエネルギー源なのです。脳や中枢神経系などは ブドウ糖以外からエネルギーを得ることができません。糖質を全く取らなければエネルギー不足になって、頭の働きが鈍くなり、集中力が低下したり、無気力を引き起こしたりします。

 糖質が不足すると、肝臓に蓄えたグリコーゲンを分解するため、肝臓に大きな負担が掛かります。さらに、肝臓の貯えが10時間ほどでなくなると、今度は筋肉のタンパク質を分解してブドウ糖に替えて補うようになります。その結果、血液が酸性に傾いて、呼吸が激しくなったり、昏睡を引き起こしたりします。

 このように「炭水化物を一切食べない」ことは命にかかわります。非常に危険ですので、絶対になさらないで下さい。

中野 里美(なかの さとみ)
中野里美先生

1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。 日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。

投稿する

前へ 1234次へ 
前へ 1234次へ 

投稿する

メディカルトリビューンブックス

腰痛のナゼとナゾ 

腰痛のナゼとナゾ"治らない"を考える

  • 菊地 臣一 著
  • 四六判 144ページ
  • 1,365円(税込)
喘息の超(ウルトラ)コントロール法s

喘息の超(ウルトラ)コントロール法

  • 久保裕 著
  • 四六判 175ページ
  • 1,470円(税込)
痛みを残さない帯状疱疹 再発させない単純ヘルペス

痛みを残さない帯状疱疹 再発させない単純ヘルペス

  • 漆畑 修 著
  • A5判 144ページ
  • 1,470円(税込)