2011年08月09日 公開

花粉症に50~70%の効果 「下甲介化学剤手術」

夏からが治療時期

 花粉症の治療に、鼻の粘膜に薬を塗る方法がある。「下甲介(かこうかい)化学剤手術と呼ばれ、鼻詰まりに対しては70%の治癒率です。治療時期は、夏から冬が適しています」と、北里大学医学部(神奈川県)耳鼻咽喉科の八尾和雄診療教授は話す。

鼻粘膜を変性させる

 花粉症はアレルギー性鼻炎の1つで、スギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉が原因となり、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの症状が起きる病気。わが国では1960年代に発見され、以降、毎年花粉が飛散する春には多くの人が症状に悩まされている。

 一般的には、点鼻液や抗アレルギー薬などによる対症療法が行われている。しかし、病気を根本から治す治療法ではないため、毎年繰り返し行う必要がある。

 下甲介化学剤手術は「トリクロール酢酸を薄めて水溶液にしたものを鼻腔(びくう)の下甲介という部分に塗って、鼻粘膜を変性させます。アレルギー反応を起こしにくい組織に再生させるので、症状が著しく改善されます」と八尾診療教授。ただし、同治療法も根治療法ではない。

効果持続、副作用なし

 手術は、鼻粘膜に麻酔をかけた後、トリクロール酢酸を塗布するだけ。所要時間は30分ほど。すぐに帰宅でき、その日から、仕事や運動、飲食、入浴が可能だ。ただし、手術当日は鼻をふいたもので目や他の皮膚に触らないこと。また、手術後は毎日、鼻を片方ずつしつこいくらいにかむ。

 「治療時期は、スギやヒノキの花粉が飛ばない夏から冬がよいでしょう。治癒率は、鼻詰まりが70%、くしゃみが60%、鼻水が50%くらいです。効果は持続し、これまで副作用は見られません。ただし、鼻の形状によって手術できない場合もあるので、医師に相談してください」と八尾診療教授。

 同診療教授は、1980年代からこの手術を始め、これまでに約4,800人に行ってきた。現在は、北里大学病院のほか、一部の開業医が行っている。受診希望者が多く、同大学病院では予約してから手術が受けられるまで1年以上かかるという。

2004年6月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)