2011年10月05日 公開

難治性てんかんに新治療、患者の負担少ない手術

九州工業大などが開発

 脳の神経細胞の異常な活動によって痙攣(けいれん)などの発作を起こすてんかん。中でも難治性てんかんは通常、原因となる脳の神経細胞を切除して治療するが、患者に負担がかかるほか、言語障害や運動障害を引き起こす恐れが指摘されている。こうした中、九州工業大学大学院、山口大学、静岡大学の合同研究チームは動物実験で、てんかんを引き起こす脳の部分を凍結によって壊死(えし)させるという、患者の負担が少ない低侵襲な新しい治療法の開発に成功した。

直径2~10ミリの領域を凍結

 わが国のてんかん患者は約127万人で人口の約1%、うち約2割が、薬では痙攣発作が抑えられない難治性てんかんといわれている。治療には外科的な治療法が必要だが、これまでの治療法では原因となる部分が脳の深い部分にある場合、正常な部位を傷付けたり、誤って切除したりする可能性が大きいとされている。九州工業大学大学院の研究グループでは、てんかんの病巣をより低侵襲に取り除く新技術の確立を目指し、気化熱を利用した凍結用のプローブ(探し針)を開発している。現在、直径2~10ミリの領域を、より低侵襲に凍結して壊死させることが可能だという。

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 これによって、より小さな領域を標的とした治療が可能になった。研究チームは、ラットの頭蓋骨に開けた直径数ミリの小さな穴から凍結プローブを挿入。手のひらサイズのマイクロボンベから送られた冷媒が凍結プローブの内部で気化し、先端は約マイナス50℃に急降下、てんかんの原因部位を凍結して壊死させることができた。

 この手法を用いて、てんかん治療を実証したのは世界初のこと。山口大学の藤井正美・准教授(脳神経外科)は「てんかん切除術の新たな治療法の開発につながる可能性がある」と述べた。

 九州工業大学大学院の山川烈特任教授・名誉教授(生命体工学研究科)は「この技術が臨床で確立すれば、従来必要とされていた開頭範囲よりもはるかに小さい開頭領域(直径数センチ程度の穴)で、てんかん治療が可能になる可能性がある。難治性てんかん患者の福音になるのでは」と話している。

編集部

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