2011年10月14日 公開

鉄サプリメントで死亡リスク2倍、マルチビタミンも

フィンランドと米国の研究

 最近、一般に市販されているビタミン剤や栄養補助食品に関するエビデンス(根拠となる研究結果)が集積されつつある。しかし、医学的効果の観点からは、厳しい評価が示されているものも少なくない。今回、米医学誌「Archives of Internal Medicine」に掲載された論文は、サプリメントの服用で死亡リスクが上昇するという衝撃的なものだ。特に鉄のサプリメントの死亡リスクは最大で2倍に達したという。一方で、関連誌の「JAMA」にはサプリメントに関する"朗報"も報告されている。

亜鉛や銅でもリスク増

 サプリメントと死亡の関連を報告したのは、東部フィンランド大学のJaakko Mursu氏ら(Archives of Internal Medicine 2011; 171: 1625-1633)。同氏らは、米アイオワ州の女性を対象にした健康調査「Iowa Women's Health Study」に参加した高齢女性3万8772人(年齢中央値61.6歳)について、各種サプリメントの使用と死亡リスクに関する検討を行った。追跡期間(1986~08年、中央値19年)中の死亡率は40.2%だった。

 追跡期間中にサプリメントをのまなかった群と比べ、各種サプリメントによる死亡リスクは下記のように上昇していた。

  • マルチビタミン 1.06倍
  • ビタミンB6 1.10倍
  • 葉酸 1.15倍
  • 鉄 1.10倍
  • マグネシウム 1.08倍
  • 亜鉛 1.08倍
  • 銅 1.45倍

 上記とは別に行われた解析からは、鉄サプリメントの服用量が多くなるごとに死亡リスクが最大2倍にまで高まる傾向が見られた。しかし、カルシウムでは9%の死亡リスク減少が認められたという。

 Mursu氏らは今回の検討から、高齢女性を中心に広く使用されているサプリメントの使用は死亡リスクの上昇とかかわっており、特に鉄のサプリメントで強い関連が見られたと結論。「医学的な効果が強く認められていない限り、サプリメントの使用は推奨しない」と述べている。

葉酸で言語発達障害リスク減

 一方の"朗報"は、ノルウェー公衆衛生研究所のChristian Roth氏らが行った研究(JAMA 2011; 306: 1566-1573)。同氏らは、1999~08年に登録された妊婦から産まれた子供3万8,954人の言語能力を、3歳まで追跡した。

 子供の204人(0.5%)に重度の言語発達遅滞(1語あるいは理解不能な発語と定義)が見られた。

 妊娠4~8週に葉酸サプリメント(以下、葉酸)を摂取していなかった母親から生まれた子供9,052人と比べ、重度言語発達遅滞のリスクは、葉酸を摂取せずに他のサプリメントを飲んでいた母親から生まれた子供で1.04倍、葉酸のみ摂取していた母親の子供(7,127人)と、葉酸と他のサプリメントを併用していた母親の子供(1万9,005人)で0.55倍。つまり、他のサプリメントをのんでいるかにかかわらず、葉酸を摂取することによって重度言語発達遅滞リスクが45%低下することが分かった。

 ノルウェーでは、食品などへの葉酸の添加は行われていない。そのためRoth氏らは、妊娠中の葉酸摂取の有無による差が如実に出ると予想していたようだ。また、妊娠中の葉酸摂取が子供の発達に与える影響を検討したのは、これが初めてではないかとしている。

(編集部)

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