2011年10月24日 公開

妊娠初期の高血圧は子供の先天異常リスク―米研究

薬剤とは無関係か

 「アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬」は高血圧の治療薬として多くの患者に服用されているが、特に妊婦は胎児への悪影響があると報告されている。しかし、妊娠初期(第1期)は妊娠に気付かないこともあり、そのまま服用を続けるケースもあるようだ。ところが、米カイザーパーマネンテのDe-Kun Li氏らは10月18日、約47万組の母子を調べたところ、妊娠第1期にACE阻害薬を服用しても子供の先天異常の増加は認められなかったと、英医学誌「BMJ」(2011; 343:d5931)に発表。「リスク上昇は、高血圧による影響がより大きいと考えられる」と報告した。

正常対照群との比較ではリスク1.5倍

 Li氏らは、米カリフォルニア州オークランドの受診・処方データベースから、1995~08年の妊婦とその出産児(46万5,754組)を調査した。妊娠第1期のACE阻害薬の使用は1,000人当たり0.9人、その他の降圧薬の使用は2.4人だった。

 先天性の心臓病は、妊娠中に高血圧もACE阻害薬の使用もない正常対照群の1.6%と比べ、ACE阻害薬の妊娠第1期のみの使用がある群では3.9%と増加。糖尿病、出産年齢、民族などで調整すると、リスクは1.54倍だった。その他の降圧薬の妊娠第1期のみの使用でも、正常対照群と比べたリスクは1.52倍に上った。

高血圧対照群との比較でリスク差消失

 しかし、妊娠1年前から出産までに高血圧と診断されていて降圧薬の使用がない群(高血圧対照群)の2.4%と比べると、ACE阻害薬使用群でも、その他の降圧薬使用群でも、リスクの差は認められなかった。

 すべての先天異常、神経管奇形についての検討でも、ACE阻害薬使用群、その他の降圧薬使用群はいずれも正常対照群と比べると増加が見られたが、高血圧対照群と比べた場合のリスク上昇はなかった。

 今回の研究は、服薬遵守(じゅんしゅ)率などが反映されていないものの、これまでの報告と比べて非常に規模が大きく、さまざまな人種を含む分析となっている。Li氏らは「ACE阻害薬やその他の降圧薬を妊娠第1期に使用しても、先天異常が増加することは確認できなかった。リスク上昇の原因はむしろ高血圧であるようだ」との結論を導き出している。

(編集部)

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