2011年11月10日 公開

禁煙補助薬「チャンピックス」で自殺リスク8.4倍―米研究

「第一選択薬に適さない」

 今年10月24日、米食品医薬品局(FDA)は禁煙補助薬「チャンピックス」(一般名バレニクリン)の服用による精神神経症状との関連について、「他の禁煙補助薬に比べ、精神神経症状が増加するとは判断できない」と発表した。しかし、米薬物安全使用協会(ISMP)のThomas J. Moore氏らは、チャンピックスの副作用をさらに検証した結果、「自殺・自傷行動、抑うつ症状の90%がチャンピックスによるもので、他の禁煙補助薬に比べたリスクは8.4倍だった」とし、第一選択薬(最初に使用する薬)に適さないとの報告を米医学誌「PLoS ONE」(2011; 6: e27016)に発表した。

抗生物質との比較では36.6倍のリスク上昇

 Moore氏らはまず、1998~10年9月にFDAの副作用報告システムに登録されたチャンピックス、日本未発売の禁煙補助薬「bupropion」、その他の禁煙補助薬(対照群)による重篤な副作用1万3,243件を抽出した(それぞれ9,575件、1,751件、1,917件)。その中から抑うつ、自殺・自傷行動のいずれかまたは両方に該当した3,249件を検出。内訳はチャンピックス群が2,925件(90%)、bupropion群が229件(7%)、対照群が95件(3%)だった。

 抑うつ、自殺・自傷行動のリスクを対照群と比べたところ、チャンピックス群は8.4倍、bupropion群は2.9倍と、チャンピックス群で大幅なリスク上昇が認められた。

 さらに、同じく短期間に処方される薬として抗生物質(重篤な副作用報告4,047件のうち、抑うつ、自殺・自傷行動のいずれかまたは両方に該当したのは48件)を比べてリスクを算出すると、チャンピックス群が36.6倍、bupropion群が12.5倍、対照群が4.3倍だった。

 米退役軍人省の推奨では、チャンピックスは他の禁煙補助薬やbupropionの不成功例に処方すべきとしている。今回の検討結果から、Moore氏らは同省の推奨に賛同するとし、チャンピックスを第一選択薬として使用することに疑問を呈した。

(編集部)

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