2011年12月19日 公開

スタチンで入院患者のインフルエンザ死が4割減―米研究

 高コレステロール血症の治療薬であるスタチンだが、静脈血栓塞栓症を抑制するなど他の効果も多数報告されている(関連記事)。こうした中、米オレゴン公衆衛生局のMeredith L. Vandermeer氏らは、インフルエンザで入院した成人患者のインフルエンザによる死亡とスタチン投与の関係を分析。スタチン投与はインフルエンザによる死亡リスクを4割低減していたと、12月13日付の米医学誌「Journal of Infectious Diseases」(電子版)発表した。

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入院患者3,043人を検討

 Vandermeer氏らは、米疾病対策センター(CDC)新興感染症プログラムが2007~08年、全米10州の59地域で行ったインフルエンザの確定診断を受けて入院した成人患者(平均年齢70.4歳)の観察データを分析した。

 分析対象となった3,043人は56%が女性で、57.1%はインフルエンザワクチンを接種していた。33.3%(1,013人)が入院前か入院中にスタチンを処方されており、入院前と入院中の両方が76%を占め、入院前のみは13%、入院中のみは11%だった。スタチンを処方された患者は、年齢が高く、男性と白人が多く、心血管疾患(心臓や血管など循環器の病気)、代謝性疾患、腎臓病、慢性肺疾患を有し、インフルエンザワクチンの接種率が高い傾向があった。

 インフルエンザの検査から30日以内に死亡したのは、全体の5.0%(151人)だった。分析の結果、入院前や入院中のスタチン投与はインフルエンザ死亡を予防し、リスクは41%減少した。

有用な補助薬となるか

 スタチン投与が入院前のみの患者は少なかったが、入院前の投与でもリスクは42%減少と、入院前・入院中両方に投与された患者とほぼ同等の結果が得られた。

 診断から死亡までの期間(7日以内、14日以内、21日以内、30日以内)別の分析でも、スタチン投与で死亡リスクが減少。死亡までの期間が短いほどリスクは低下しており、1週間以内が最も低かった。診断後1週間を超えての死亡には、インフルエンザ以外の要因が関与していることも考えられた。

 Vandermeer氏によれば、今回の研究はインフルエンザ確定診断例でスタチンとインフルエンザ死亡の関係を調べた初めての観察研究。今後、スタチンの用量反応、より若い年齢を対象にした効果の検討などを行うべきだという。抗ウイルス薬が効きにくい、あるいはワクチンが合わない株が流行した場合において、スタチンは有用な補助薬となるかもしれない。

(編集部)

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