2012年05月18日 公開

鍼治療がCOPDに有効? 息苦しさなど改善―明治国際医療大

 つらい呼吸困難などが徐々に進行していく慢性閉塞性肺疾患(COPD)。たばこの煙が主な原因で、2020年までに世界の死因の第3位にランクインするとみられている。明治国際医療大学鍼灸(しんきゅう)学部の鈴木雅雄准教授らは、COPD患者を対象に検討を行った結果、偽鍼(はり)治療を受けた患者に比べて実際の鍼治療を受けた患者では、COPDの代表的な症状の1つである労作時呼吸困難(体を動かしたときの息苦しさ)の低下などの改善効果が認められたと、5月14日付の「Archive Internal Medicine」(電子版)に報告した。同氏らは、鍼治療がCOPD患者に有効な補助療法であることが証明されたとしている。

中等症~最重症のCOPD患者68人を検討

 鈴木氏らによると、これまでに鍼灸治療はがん患者の息切れの改善や、ぜんそくおよびCOPD患者およそ3,000人を対象とした16件の研究のレビューで有効性と安全性が報告されているという。

 今回の研究で対象としたのは、2006年7月1日~09年3月31日に京都大学病院や兵庫県立尼崎病院など近畿地方の医療施設を受診中の、中等症~最重症のCOPD患者68人。鍼治療を受けるグループ(34人、男性31人、平均72.7歳)と、偽の鍼による治療を受けるグループ(34人、男性32人、平均72.5歳)にランダムに割り付けた。

 鍼治療は、通常の治療の補助療法として週1回を12週間にわたって行った。鍼を刺す部位は、過去の研究報告や文献などを参照し、胸や腰など上半身と膝下の計22カ所とした。また、偽の鍼は先端部が鈍く実際に刺さらないものの、部位は鍼治療群と同じ個所とした。

歩行距離や生活の質も改善

 6分間歩いた直後の呼吸困難度は、鍼治療群は治療前の5.5(「呼吸困難が強い」に相当)から治療開始12週後には1.9(「呼吸困難が弱い」に相当)に減少。鍼治療による労作時呼吸困難の改善効果が示された。一方、偽鍼治療群では4.2(「呼吸困難がやや強い」に相当)から4.6(「呼吸困難が強い」に相当)へと上昇していた。

 同様に、歩行距離では偽鍼治療群に対する鍼治療群の平均変化の差は78.68メートルと改善し、生活の質(QOL)も鍼治療群で改善していた。しかし、FEV1(肺活量測定の最初の1秒間の呼気量)は両群に差が認められなかったという。

 今回の結果を受けて鈴木氏らは、12週間の鍼治療によってCOPD患者の労作時呼吸困難やQOLなどが改善され、COPD治療への補助療法として鍼治療の有効性が証明されたと結論。ただし、すでに治療を受けているCOPD患者を対象にしたことから、鍼治療のみによる改善効果とは言い切れないとし、より大規模で長期的な研究によって有効性を追求すべきと結んだ。

(編集部)

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