2012年06月27日 公開

難病の多発性硬化症が増加、背景に"都会化"

ギリシャ研究

 運動麻痺(まひ)や感覚障害、視力障害などの症状が現れ、日常生活に大きな支障を来す難病の多発性硬化症。ギリシャ・クレタ大学医学部のD. Kotzamani氏らは、多発性硬化症患者が増加しており、その背景に都会化による環境要因が関係している可能性があると、米医学誌「Neurology」(2012; 78: 1728-1735)に発表した。

クレタ島の住人1,250人で検討

 多発性硬化症の発症には、環境的な要因と遺伝的な要因が複雑に関与するという。環境的要因の一つとして、早朝・深夜のシフト勤務経験者では発症リスクが2倍になることが指摘されている(関連記事)。

 Kotzamani氏らは1980~2008年、社会経済的な変化が著しいギリシャ・クレタ島(人口60万人)の多発性硬化症患者657人と、年齢や性別、現在の居住地を一致させた対照593人を比較した。危険因子を探るため、対象者には71項目のアンケートに答えてもらったという。

 その結果、多発性硬化症の発症は過去30年間で著しく増えていた。増加は女性患者の増加によるもので(男女比:1980年0.9、2008年2.1)、特に都市部に住む女性と若年期に地方から都市部に移住した女性が影響を受けていた。これに対し、同島のへき地では多発性硬化症の増加は少なく、性差も小さかった。

 都会化に伴う主な変化として、多発性硬化症の女性患者では喫煙率が著しく高くなっていた。また、経口避妊薬(ピル)の使用頻度が高く、第一子出産年齢が高かった。さらに、飲酒やビタミン剤の使用も多かったという。

(編集部)

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