2012年09月11日 公開

脂肪の上に筋肉を付けると脂肪が取れなくなる?

 脂肪が多い人が筋肉を付けると元々ある脂肪の上に筋肉が付いてしまい、その脂肪は取れなくなる。だから、先に脂肪を落としてから鍛えないといけないと聞きました。本当ですか?

のぶひこ(男性 20代)

嘘です。

 解剖学的に、脂肪の上に筋肉が付くことはないので、脂肪が筋肉に覆われてしまって取れなくなることはありません。脂肪を落とすためには、むしろ鍛えて筋肉を付ける必要があります。

 脂肪には、大きく分けると皮下脂肪と内臓脂肪があります。皮下脂肪は皮膚のすぐ下に付いていて、指でつまめます。内臓脂肪は腹筋の内側にあり、おなかの中の内臓の隙間に付いています。内臓脂肪はエネルギーが余った時にたまりやすく、エネルギーが不足した場合に使われやすいという特徴があります。内臓脂肪が過剰に蓄積し、健康に影響を及ぼした状態が「メタボリックシンドローム」です。

 運動をすると脂肪が減って、筋肉が増えます。筋肉が増えるとエネルギー代謝が上がり、エネルギーを効率良く消費して体に脂肪をためにくく、さらに、たまった脂肪を燃焼しやすくなります。脂肪より筋肉の方が重いため体重は増えますが、体が引き締まって見えますし、痩せやすく太りにくい体質になります。

 単に食事の量を減らして摂取エネルギーを少なくするだけでは筋肉量が減少して基礎代謝が低下し、太りやすい体質になってしまう危険性があります。このようなことを防ぐために摂取エネルギーを控えるだけでなく、運動して筋肉量を減らさないようにすることが大切です。

 筋トレで筋肉を付けて基礎代謝を上げてからウオーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動をするとより効果的に脂肪を燃焼させられることが、さまざまな研究から分かってきました。

 有酸素運動開始後5~10分間は筋肉の中に蓄えられているエネルギー源が使われ、10分経過した頃から少しずつ体脂肪が使われ始めます。脂肪を燃焼させるためには15~20分間運動を続けなければなりません。気が向いた時だけちょこっと運動しても脂肪は燃焼しないのです。

 食事制限も運動も無理せず、楽しく、根気よく続けることが健康への第一歩です。できることから始めてみましょう!

中野 里美(なかの さとみ)

1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。