2012年10月30日 公開

ヨガで脳卒中患者のバランス感覚改善か 米予備研究

 米ルードブッシュ退役軍人局医療センターのArlene A. Schmid氏らは、発症から6カ月以上経過した慢性期の脳卒中患者を対象にヨガの効果を検証する小規模な予備研究を実施し、グループ・ヨガによって脳卒中後患者の平衡感覚が改善したと、米医学誌「Stroke」(2012; 43: 2402-2407)に発表した。Schmid氏らは、グループで行うヨガは通常のリハビリテーションを補うものとして、費用対効果に優れた介入法となる可能性があるとしている。

転倒への恐怖心も減少

 Schmid氏らは、脳卒中の発症から6カ月以上経過した慢性期の患者47人(18歳以上、最高齢は90歳代)を、

  1. 週2回のグループヨガを8週間行う群(ヨガ群、19人)
  2. 週2回のグループヨガに加えて、週3回以上リラクセーション音源を聴く群(ヨガ+α群、18人)
  3. ヨガを行わず、通常の医学的ケアのみを行う群(対照群、10人)

―の3群にランダムに割り付けた。

 グループヨガでは、資格を持ったヨガ療法士が指導し、患者に合わせたポージング(姿勢)や呼吸法、瞑想(めいそう)などが行われ、徐々に強度や難易度を上げていった。

 8週間後、ヨガを行った群(ヨガ群とヨガ+α群)と対照群の間で差は認められなかったが、ヨガを行った群では、ヨガを行う前と比べてバランス能力と転倒への恐怖心が統計学的に顕著に改善した。これは、対照群ではみられなかったという。

 Schmid氏らは「脳卒中の発症後にいち早くリハビリが実施されても、バランス障害は発症から6カ月以降も持続することが多い。今回の研究では、こうした患者にヨガが有効であることが示唆された。バランス能力に関しては、医療現場にとって意味のある改善が認められ、これまでの研究よりも大きな効果が確認できた」と結論付けている。

 その一方で、「被験者数が少ないなどの問題があるため、今回の結果から導き出すことのできる結論は限定的なものとなる。被験者数が少なかったから、ヨガを行った群と対照群の間で差が認められるまでには至らなかった」と指摘。今後はさらに大規模な研究を行う必要があるとしている。

ヨガ療法士を見つけるのは困難

 今回の研究では、ヨガのレッスンを通して患者の障害に対する考え方が好ましい方向に変わった。バランス能力が改善したことにより、患者は新たな活動や困難な環境にも挑戦するようになり、例えば、「スーパーマーケットでの買い物の際、補助スクーターではなく歩いて回れるようになった」「シャワーを浴びられるようになった」「友人宅を訪問したくなった」などと話していたという。

 Schmid氏らは「ヨガのポージングや呼吸法、瞑想の組み合わせは単なる運動とは異なる作用をもたらすため、従来の運動療法よりも治療効果が高いのかもしれない」と推察している。

 さらに、「現時点ではヨガの有効性を支持するエビデンス(科学的根拠となる研究結果)はわずかしかなく、脳卒中患者がヨガのレッスンを受けようとしても、資格のあるヨガ療法士を見つけるのに苦労するかもしれない。しかし、中にはヨガを治療に取り入れている作業療法士や理学療法士もいる」と述べている。

(編集部)

関連リンク(外部サイト)