2012年12月27日 09:44 公開

子供の食物アレルギーといじめの実態、3人に1人が経験

親が把握は2人に1人―米研究

 時として命に関わる食物アレルギーだが、子供のいじめの原因になることもあるという研究結果が報告された。米マウントサイナイ医療センターのEyal Shemesh氏らが12月24日発行の米医学誌「Pediatrics」(電子版)に発表した論文によると、食物アレルギーを持つ子供の31.5%でアレルギーが原因のいじめや嫌がらせを受けた経験があると答えた一方、その事実を把握していた親は52.1%にとどまったという。

子供の食物アレルギーは10年間で18%増加

 Shemesh氏らによると、1997~2007年の10年間で子供の食物アレルギー患者は18%増加しており、食物アレルギーの子供を持つ親の半数が、食物アレルギーを理由にわが子が学校でいじめ、からかい、嫌がらせを受けた経験があると回答したという。

 そこで同氏らは、2011年4~11月にマウントサイナイ医療センターの食物アレルギー科を受診し、食物アレルギーと診断された患児とその家族(母親の割合83.6%)251組を対象に、食物アレルギーといじめの実態をさらに調査した。患児の年齢は8~17歳、患児と家族は同室内で別々にアンケート用紙へ記入した。

 いじめについては、いじめを全く経験していないグループ(未経験群)、いじめ経験が1カ月当たり2回未満のグループ(単発経験群)と2回以上のグループ(頻回経験群)の3つに分類。単発経験群と頻回経験群についてはさらに、どちらかといえば食物アレルギーを原因とするいじめ(アレルギー原因群)、どちらかといえば食物アレルギー以外を原因とするいじめ(非アレルギー原因群)、理由が定かではない(原因不明群)の3グループに分けた。

"加害者"は教職員も多い

 いじめを受けた経験があると答えた患児および親の割合を原因別に検討した結果、アレルギー原因群は患児で31.5%、親で24.7%、非アレルギー原因群はそれぞれ29.5%、27.5%、原因不明群は45.4%、36.3%だった。

 アレルギー原因群のいじめについて、患児の報告を基に実態を分析したところ、いじめの方法では「からかい」が最多の42%、次いで「食べ物を目の前でちらつかせる」(30%)、「けちをつける」(25%)と続き、いじめの"加害者"は「クラスメート」が8割だったものの、「他のクラスの生徒」(34%)に続いて「教職員」(11%)が3番目に多かった。

 何らかの原因で患児がいじめを受けた場合、患児のQOL(生活の質)や不安などが悪化することが分かった。いじめの頻度別に見ても、未経験群に比べて単発経験群や頻回経験群でより低下していたという。

 さらに、患児のいじめを把握していた親の割合は52.1%だったが、何らかの理由で患児がいじめを受けたことを親が知らなかった場合に比べ、知った場合の親ではQOLが低下。親にいじめ被害を相談した患児ではQOLが改善していた。

 今回の結果について、Shemesh氏らは「食物アレルギーを持つ子供の間ではいじめ被害に遭うことが一般的であり、それによりQOLが低下したり、不安が増加したりすることが示された」と結論。いじめ被害を親に知ってもらうことで患児のQOLや不安の改善・解消につながることも示されたことから、医師がいじめの実態を把握し介入すべきと提言した。

(編集部)

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