2013年02月08日 公開

がんのリハビリに新しい動き、手術前から予行演習

早期の社会復帰目指す

 がんの手術前からリハビリテーションを受けると、術後の回復が早くなるという。比較的新しい動きで、わが国でも急速に普及している。がんが「治る病気」になりつつあるだけに、リハビリの需要は今後ますます高まりそうだ。慶応義塾大学病院(東京都)リハビリテーション科の辻哲也診療副部長に聞いた。

術後も早く開始

 がん患者が手術などを受けた後、合併症や機能障害が生じると、そこからリハビリが行われる。辻診療副部長は「リハビリを術前と術後早期から始めることで、迅速な回復が期待できます」と指摘する。リハビリによる治療はいろいろあり、がんの種類の数だけ方法があるといってもよい。

 例えば、食道がんの手術は胸部と腹部を切って行われる。術後1週間は、傷の痛みなどで深い呼吸ができない。また、のみ込みがうまくできず、飲食物が間違って気管に入ったり、同じ姿勢で横になっているせいで痰(たん)がたまったりして、肺炎などを起こしやすい。

 予防するには、術後できるだけ早く起き上がって体を動かすことが大切になる。腹式呼吸を行う、機械を使った呼吸訓練で肺の機能を取り戻す、口腔(こうくう)内の衛生や栄養面での指導を受ける―などの必要もある。

心理面の効果も

 これだけのことを術前に予行演習しておくと、術後も効率よく実践できる。辻診療副部長は「従来のリハビリだと術後の合併症が3~4割の患者さんで見られましたが、術前・術後早期からリハビリを行うことで合併症の発症は減っています」と話す。

 医師のほか、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、多くの専門職がチームを組んでリハビリに当たる。患者にとって、術前から医療スタッフと面識ができ、助言を受けることで術後の不安が軽くなるなど、心理面での効果も大きい。

 2011年の診療報酬改定で、「がん患者リハビリテーション料」が新設されたことも追い風になって、がんのリハビリを行う医療機関が増えている。術後の合併症を予防し、後遺症を最小限に抑えることができれば、入院期間が短くなり、早期の社会復帰も可能だ。

(編集部)

2012年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)