2013年02月12日 公開

動物性脂肪より植物性の方が危険? 変更で死亡リスク上昇

40年前の豪研究を再解析

 飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪を、多価不飽和脂肪酸の豊富な植物性脂肪に切り替えることで、心臓病になるリスクが低くなる―。世界的な"常識"とされ、多くの国で食事指針の基本的な考え方になっているが、これを覆す研究結果が報告された。米国立アルコール乱用・依存症研究所のChristpher E. Ramsden氏らが、オーストラリアで約40年前に行われた研究を再解析した結果、動物性脂肪から植物性脂肪(リノール酸)に切り替えたグループで、心臓病になるリスクが上昇したことが分かったという。詳細は、2月5日発行の英医学誌「BMJ」(2013; 346: e8707)に掲載されている。

心筋梗塞などで入院した男性458人を検討

 動物性脂肪から植物性脂肪へ切り替えることは、世界的な推奨事項の基本とされてきた。しかし、植物性脂肪に多く含まれるω(オメガ)6系不飽和脂肪酸の一つ、リノール酸の効果については英国と米国で見解に違いがあり、リノール酸が心臓病や死亡のリスクを低下させるかどうかに関する最新の臨床試験データも報告されていないという。

 そこでRamsden氏らは、1966~73年にオーストラリアで行われた研究のデータをあらためて解析することにした。解析の対象は、心血管イベント(心筋梗塞や心不全など循環器の病気の急激な発症、悪化)によって4つの施設のいずれかに入院した、30~59歳の男性458人。動物性脂肪から植物性脂肪(リノール酸)に切り替えるグループ(介入群、221人)と、何もしないグループ(対照群、237人)に、無作為に分類した。

 介入群に対しては、1日当たりの摂取エネルギーの割合について、不飽和脂肪酸を約15%に増やす一方、飽和脂肪酸を約10%未満に減らし、コレステロールの摂取も300ミリグラムに制限するよう指導。リノール酸のマーガリンを配布した。対照群には特別な食事指導をしなかったが、自主的にバターから植物由来のマーガリンへ切り替えた参加者もいた。

リノール酸切り替えで死亡リスク1.6倍

 介入群の5年後の死亡リスクは対照群の1.62倍、循環器の病気全体による死亡が1.70倍、心臓病による死亡が1.74倍と、いずれも介入群でリスクが上昇していた。

 さらに、Ramsden氏らが2010年に行った別の解析データと統合したところ、リノール酸への切り替えによる死亡リスクは、統計学的な差は認められなかったものの、いずれも上昇傾向にあったという。

 今回の結果から同氏らは、飽和脂肪酸からリノール酸へ切り替えたグループで死亡リスクが上昇することが分かったと結論。「世界的な食生活の指針に重要な意味を持つデータが示された」と述べている。

(編集部)

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