2013年02月22日 公開

生後12カ月以降も母乳育児OK、米国歯科医師会が推奨変更

母乳と虫歯の関連「十分な根拠なし」

 乳歯が生えたら母乳から離乳食に切り替えるのが子供の虫歯を防ぐ手段とされていたが、この"常識"を覆す報告が、2月1日発行の米国歯科医師会の機関誌「Journal of the American Dental Association」(2013; 144: 143-151)に発表された。報告した米ノースカロライナ大学歯学部のLindsey Rennick Salone氏らは、母乳と虫歯の関連は十分なエビデンス(根拠となる研究結果)が示されていないとし、生後6カ月以降も母乳育児の継続を支持。乳児の虫歯予防には、布や柔らかい歯ブラシを使って優しく口の中を洗浄するよう推奨している。

母乳は乳歯のかみ合わせにも好影響

 Salone氏らが文献や団体の声明などを基に評価した結果,母乳育児は人工乳の場合に比べ、急性中耳炎や胃腸炎,下痢や重症の下気道感染症(肺炎や気管支炎など),ぜんそく,乳幼児突然死症候群(SIDS),肥満などのリスクが減らすことが分かった。また,乳歯のかみ合わせに好ましい影響を与えるというエビデンスもあったとしている。

 一方,母乳と乳児の虫歯の関連については,一貫した結論が得られていないほか,フッ化物(フッ素)や食事習慣,歯磨きなどの衛生習慣といった要因が影響しているかもしれない報告もあるため,「母乳と虫歯を関連付ける十分なエビデンスはない」と述べている。

 その上で今回,「母乳を与えた後、保護者は子供の歯と歯茎を布や柔らかい歯ブラシで優しく洗浄する」との米国小児歯科学会の勧告と、「生後6カ月までは完全母乳育児を行い,離乳食を開始した後や生後12カ月以降も、母子が望む限り母乳育児を継続してもよい」との米国小児科学会の勧告を支持する姿勢を示した。

小児科と異なる見解で「保護者が混乱する可能性」

 今回の報告を発表した米国歯科医師会が「乳歯が生えてからは制限なしの母乳育児を避け,炭水化物食を開始する」と推奨していたのをはじめ、複数の歯科団体が虫歯予防のために乳歯が生えたら授乳を控えるよう勧めていた。

 しかし、これらの勧告は小児科と異なる内容だったため、保護者が混乱する恐れがあった。他の医学団体なども小児科と同じ見解を示していることなどから、米国歯科医師会は「歯科医師や関係者が、母乳育児と口の中の健康維持を両立させるための次なるステップを取るべき」との見解を示している。

(編集部)

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