2013年02月26日 公開

"少量"の飲酒でもがん死亡リスク高める―米研究

 「百薬の長」と呼ばれる一方、「命を削る鉋(かんな)」ともいわれる酒。大量の飲酒は脳卒中や心臓病などになるリスクを増やすものの、一般に"適度な量の飲酒なら健康に良い"とされるように、少量の飲酒なら逆に健康に良いとする研究結果も多数報告されている。"適量"や"少量"の基準はさまざまだが、日本酒で1日1合、ビールだと中瓶(500ミリリットル)1本と推奨する場合が多い。こうした中、米国立がん研究所のDavid E. Nelson氏らは、"適量"や"少量"でもがんで死亡するリスクが高まるとする研究結果を、2月14日発行の米医学誌「American Journal of Public Health」(電子版)に発表した。Nelson氏らは、飲酒に安全な上限量は存在しないと結論している。

飲酒によるがん死で失われる寿命は17~19年

 世界保健機関(WHO)の評価によると、飲酒は口腔(こうくう)がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、女性の乳がんの原因になるとされている。

 Nelson氏らは、米国の2つデータベース(BRFSS、NAS)に2つの手法を使って飲酒ががんに及ぼすさまざまな影響について推計した。検討したがんの種類は、口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がん、大腸がん(結腸がん)、大腸がん(直腸がん)、肝臓がん、女性の乳がんの7つ。

 その結果、飲酒による7つのがんの死亡数は全米で1万8,178~2万1,284人(平均1万9,503人)とされ、全てのがんによる死亡の3.2~3.7%に相当した(平均3.5%、男性2.4~4.0%、女性2.7~4.8%)。

 さらに、特に飲酒との関連が強いとされる男性の口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がん、女性の乳がんの死亡を推計。男性の口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がんの飲酒による死亡数は全米で3,790~8,395人(これらのがんによる死亡全体の53~71%)、女性の乳がんによる死亡数は4,730~7,310人(乳がん死全体の56~66%)となった。

 また、飲酒を原因とするがん患者で失われた寿命は17.0~19.1年(平均18年)と推計された。

飲酒量を減らすことが重要

 飲酒を原因とするがん死亡の構成比を1日の飲酒量(アルコール換算で20グラム未満、20~40グラム、40グラム超)別に見ると、40グラム超は47.5~60.2%、20~40グラムは14.4~17.2%で、20グラム未満でも25.5~35.2%(男性17~25%、女性37~51%)と推計された。

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 なお、アルコール20グラムは日本酒で約1合、ビールで中瓶1本に相当する。つまり、一般に推奨されている"適量""少量"の飲酒でもがん死リスクは高まることになる。

 Nelson氏らは「より多い飲酒量ががん死リスクを高めるが、("少量"でもがん死リスクが高まることから)安全な飲酒の上限量は存在しない」と結論。飲酒量を減らすことが、がんを予防する上で重要としている。

(編集部)

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