2013年05月13日 公開

親の唾液に子供のアレルギー予防効果―スウェーデン研究

ぜんそく9割減、アトピー6割減

 傷に「つばを付けておけば治る」なんていわれるように、唾液には殺菌や粘膜保護などのさまざまな作用が指摘されているが、今度は親の唾液によって子供のアレルギーが予防できるという研究結果が、5月6日発行の米医学誌「Pediatrics」(電子版)に発表された。報告したスウェーデン・クイーンシルビア小児病院のBill Hesselmar氏らによると、おしゃぶりを親の口に含んでからくわえさせられた子供では、2歳6カ月の時点でぜんそくになるリスクが9割、アトピー性皮膚炎になるリスクが6割それぞれ減少していたという。

3歳時でもアトピーリスクは低下

 Hsselmar氏らは、1998~2003年生まれで、在胎期間38週未満や集中治療を受けた場合を除くスウェーデンの新生児184人(生後1~3日)を18カ月間追跡。離乳時期、食事、病気、服薬などのデータを6カ月時と12カ月時に親への電話インタビューで収集し、6カ月時には子供がおしゃぶりを使っているかどうかと、おしゃぶりの"洗浄"方法(熱湯、水道水、親の口―の3項目から複数回答可)も質問した。なお、両親のどちらかがアレルギー疾患を抱えている割合は80%だったという。

 生後6カ月までのおしゃぶり使用率は74%(136人)で、洗浄方法は熱湯が54%、水道水が83%、親の口が48%。生後18カ月時点でのアレルギー性疾患の発症率は、アトピー性皮膚炎で25%、ぜんそくが5%、同36カ月時点ではそれぞれ23%、8%だった。

 分析の結果、生後18カ月時点におしゃぶりを使っているかどうかでアレルギー性疾患にかかるリスクは変わらなかったが、洗浄方法を「親の口」と回答した場合は他の方法に比べ、アトピー性皮膚炎の割合が63%減、ぜんそくの割合が88%減だった。生後36カ月時点では、アトピー性皮膚炎リスクのみ低下(49%減)が認められた。

唾液から腸内細菌を獲得

 先進国では子供の3人に1人がアレルギー疾患にかかっているとされるが、原因の一つとして注目されているのが、乳幼児を取り巻く環境が極端に衛生的になったこと。Hesselmar氏らは「貧困、大家族、幼いうちにペットや家畜と接触すること、食べ物を通じた細菌にさらされることなどが、アレルギー疾患リスクを下げることと関連している」と"衛生仮説"について説明。さらに「乳幼児期に腸内共生細菌の獲得が遅れることなどが、アレルギー疾患の危険因子とも指摘されている」とした。

 今回の結果については、「おしゃぶりを通じて親の腸内細菌が子供に移されることで、アレルギー疾患を抑えられた可能性がある」と述べている。

 ただし、大人から乳幼児に唾液が移ることで、胃炎・胃がんを引き起こすピロリ菌や虫歯菌(ミュータンス菌)などに感染することも指摘されているため、注意が必要だ。

(編集部)

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