2013年05月30日 公開

生活習慣病予防にマリフアナが効く!? 米研究

常用者でインスリン値や腹囲が改善

 日本において大麻(マリフアナ)は、医療機関でも使用を禁じられているため、その意外なメリットはあまり知られていない。しかし、米国などではその効果を生かし、腰痛や頭痛の治療などに使われている。そんな中、米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのMurray A. Mittleman医師らは、大麻が生活習慣病の予防に一定の効果をもたらす可能性を初めて明らかにし、5月16日発行の米医学誌「American Journal of Medicine」(電子版)に報告した。大麻を常用している人では、空腹時の血中インスリン値、インスリン抵抗性、腹囲(ウエストサイズ)が改善していたという。

多く使うほど効果があるわけではない

 Mittleman氏らは、2005~2010年に米国で行われた国民保健栄養調査(NHANES)で、現在も大麻もしくは大麻樹脂を使用していると答えた579人(常用グループ)、過去に使用したことがあると答えた1,975人(経験グループ)、一度も使用したことがないと答えた2,103人(未経験グループ)に対し、生活習慣病に関連した項目を検査した。検査項目は空腹時血中インスリン、空腹時血糖、インスリン抵抗性、HDL(善玉)コレステロール、ヘモグロビン(Hb)A1c、中性脂肪、血圧、BMI(肥満指数)、腹囲の各値。

 年齢、性別、人種、学歴、収入、結婚歴、喫煙、飲酒などの影響が出ないよう調整した結果、常用グループでは、未経験グループと比べて空腹時血中インスリン値が平均14.9%減、インスリン抵抗性が平均15.4%減、HDLコレステロールは平均1.63ミリグラム(血液1デシリットル当たり)増に改善、さらに腹囲も平均1.89センチ低いことが分かった。

 上記に加えてBMIの影響を除外、あるいはすでに糖尿病と診断された人を除いても、空腹時血中インスリン値、インスリン抵抗性、腹囲に関しては、常用グループと未経験グループ間の差こそ縮まったものの、依然として統計学的に顕著な差があった。

 経験グループ(30日間以上使用していない人たち)と未経験グループの差が小さかったことから、大麻の効果は使用しなくなると持続しないこと、また、常用グループで大麻の使用量との関連性が認められなかったことから、使うほど効果があるわけではないことも分かったという。

 同誌編集主任のJoseph S. Alpert医師(米アリゾナ大学医学部教授)は「こうした大麻の代謝改善効果のメカニズムを解明するとともに、がんや糖尿病などの患者、高齢者のQOL(生活の質)向上につながる効果を継続して研究することが必要」とコメントしている。

(サイエンスライター・神無 久)

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