2013年09月27日 公開

色覚異常に気づかず勉強や仕事に支障、検査任意化10年

学会などが問題提起

 日本眼科医会は9月19日、生まれつきの色覚異常を持つ中高生の約半数が色覚異常に気づかず、勉強や仕事に支障を来しているとの調査結果を発表した。背景には学校で行われていた色覚検査が10年前に任意化したことがあり、同医会と日本眼科学会は、希望者が検査を受けられることの周知や学校で検査が受けられるよう文部科学省に働かけるなど、体制改善への姿勢を示している。

焼け具合分からず焼き肉避ける例も

 同医会は2010~11年度、全国657の眼科医療機関を対象に生まれつきの色覚異常者に関する調査を実施。その結果、中高生の受診者の約半数が自身の異常に気付いていなかった(それぞれ45.3%、45.5%)。対象者の中には、漢字の書き方の授業で黒板の赤いチョークが読み取れず、その部分を抜いた漢字を書いた小学生、以前から色の見方が変だと感じていたが、美術の授業で先生に指摘された中学生や高校生がいたという。

 色の区別が困難だと日常生活にも支障が生じる。緑と茶の区別が付きにくい色覚異常例では、「緑の犬」「緑のハンバーグ」という認識がある。また、トマトの「熟した赤」と「熟していない緑」の区別が分からない。

 また、赤と茶の区別も難しく、焼き肉の焼け具合の判断が困難だ。色覚異常を自覚している成人では、普段焼き時間などに注意していても、お酒が入ると生焼けの肉を間違えて食べそうになるので、友人との食事は焼き肉を敬遠している人もいるという。

仕事でもさまざまな困難に直面

 現在、色覚異常者の入学制限はほとんどないが、入学時に色覚検査がある工業高校で異常を初めて指摘され困惑したケースや、美容学校に進学したもののヘアカラーの区別ができないケースがあることが同調査で分かった。

 また、就職時の色覚検査についても原則廃止され、警察官、自衛官、消防士、航空・船舶・鉄道関係などの職種を除き、ほとんどが制限を設けていない。

 しかし、自衛官を志望していたのに諦めざるを得なかったケースや、自分の色覚異常を把握している人で注意しながら就業していても、「広告関係の仕事で色による判断ミスが続いている」「刺身の鮮度が分からず古いものを客に出した」「肉の焼け具合が分からない」「クリーニング業で染み抜き作業のとき、シミの色が分からない」などの問題を抱えているケースがあったという。

10年で教職員の関心薄れる

 学校での色覚検査は、以前は小学1、4年、中学1年、高校1年時に行われていたが、1994年に小学4年のみになり、2003年度には学校健診の必須項目から削除されて任意検査となった。

 改正からこの10年間で教職員の色覚異常に対する関心は薄れ、03年以降の新任教職員については知識が少ない。そのため、日本眼科医会の宮浦徹理事は「色覚異常の生徒に対する教育上の配慮や校内の色のバリアフリーの整備は置き去りにされている」と危惧する。

 同理事は、希望者への色覚検査の実施が周知されず、受診しないものが増えつつある現状を憂慮し、体制改善に向け日本眼科医会、日本眼科学会として、国民への啓発活動の推進や文部科学省へ働き掛けていきたいと述べた。

(編集部)

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