2013年10月01日 公開

大腸がんでの死亡率、検便で3割減 内視鏡検査で7割減

米国の2研究

 大腸がんの検診として日本でも実施されている検便(便潜血検査)と内視鏡検査について、米国での2つの大規模な研究結果が、9月19日発行の米医学誌「New England Journal of Medicine」(2013; 369: 1106-11141095-1105)に報告された。大腸がんによる死亡率は検便で3割減、内視鏡検査では7割減だったという。内視鏡検査は大腸がんの発生リスクも6割程度抑えたことから、研究を行った米ハーバード大学医学部の西原玲子氏らは「内視鏡検査が、大腸がん死と発生の両方のリスク低下と関連することが示唆された」と述べている。

S状結腸の内視鏡検査でも死亡リスク4割減

 内視鏡検査の効果を報告した西原氏らは、女性看護師が対象の研究(NHS)と、男性医療従事者が対象の研究(HPFS)に参加した8万8,902人(男性3万1,736人、参加時の年齢40~75歳)に対し、1988~2008年にかけて大腸内視鏡検査を受けたかどうかを質問。2012 年まで追跡した。

 2010年までに1,815人(男性714人、女性1,101人)で大腸がんが発生し、2012年6月までに474人が大腸がんによって死亡していた。

 検討の結果、内視鏡検査を受けていた人では大腸がんで死亡するリスクが低下しており、大腸内視鏡検査で68%減、大腸がんが最も多く発生する部位を調べるS状結腸鏡検査で41%減だった。大腸がんが発生するリスクもそれぞれ56%減、40%減だったという。

 以上のことから、西原氏らは「S状結腸鏡検査や大腸内視鏡検査を受けることは、大腸がんの発生と大腸がんによる死亡の両方のリスク低下と関連することが示唆された」と結論した。

検便は男性でより有効か

 検便の効果を報告した米ミネアポリス退役軍人省保健医療システムのAasma Shaukat氏らは、1975~92年に50~80歳の男女4万6,551人(平均年齢62.3歳)に検便を行い、2008年まで追跡した。期間中に732人が大腸がんで死亡した。

 検討の結果、大腸がんで死亡するリスクは、検便も内視鏡検査も受けなかったグループに比べ、検便を毎年受けるグループで32%減、1年置きに受けるグループで22%減だった。また、1年置きに受けるグループでは、女性よりも男性でリスクが低下していたという。

 Shaukat氏らは「検便による大腸がん検診の30年に及ぶ有効性は、大腸がんでの死亡でリスクの低下が示された」とし、「また、女性に比べて男性でより有効な傾向も見られた」と述べている。

どちらの検査がより効果的?

 これらの報告について同誌では、米カイザー・パーマネンテ医療センターのTheodore R. Levin氏らによる論説を掲載(2013; 369: 1164-1166)。内視鏡検査と検便の長期的な有効性が示された点を評価しつつ、どちらの検査がより効果的かが示されていない点を指摘し、現在行われている研究からなんらかのヒントが得られ、大腸がん検診の全体的な有効性が見えてくるのではないかと期待を寄せた。

(編集部)

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