2013年11月19日 公開

"脳卒中になりやすい金属"発見―米報告

レアメタルの「タングステン」、指輪などにも使用

タングステン製の指輪は通販でも販売されている<br>
(この指輪を着けると脳卒中になりやすいという<br>
わけではありません)
タングステン製の指輪は通販でも販売されている
(この指輪を着けると脳卒中になりやすいという
わけではありません)

 脳卒中になりやすい要因は、高血圧や糖尿病、肥満といった病気のほか、塩分の取り過ぎ、喫煙、飲酒、運動不足などが挙げられている。そこに、ある金属が追加されるかもしれないことが、1990~2010年に行われた米国の国民健康栄養調査(NHANES)の検討から明らかになった。11月11日発行の米科学誌「PLoS One」(2013; 8: e77546)に論文を発表した英エクセター大学医学部のJessica Tyrrell氏らによると、それはレアメタル(希少金属)の「タングステン」。電球のフィラメントや砲弾・銃弾などのほか、指輪の素材としても使われているという。

50歳未満ではリスク2倍に

 タングステンは、溶ける温度が3,380度と金属の中で一番高く、硬く重いのが特徴。電球フィラメントや銃弾・砲弾、指輪のほか、パソコンや電子顕微鏡などの部品、レントゲンなど放射線の遮蔽物(しゃへいぶつ=遮るもの)、釣りの重り、ゴルフクラブ、楽器など幅広く利用されている。世界の産出量の8割以上を中国が占めている。

 タングステンを使った製品の総生産量はこの10年間で約2倍に膨れ上がったが、それと同時にタングステンの大気汚染による健康障害が報告されるようになったという。

 Tyrrell氏らは今回、1990~2010年のNHANESのデータから18~74歳の8,614人(男性49.02%、喫煙者18.34%)を解析。タングステンは尿から測定し、平均値は尿1ミリリットル中0.14ナノグラム、脳卒中は203人に認められた。

 他の脳卒中になりやすい要素(年齢、性別、人種、収入、喫煙、肥満度、モリブデン、コバルトなど)の影響を除外した結果、尿1ミリリットル中のタングステン量が1ナノグラム上がるごとに、脳卒中になるリスクが1.66倍に上昇。18~49歳に限定した解析では、脳卒中リスクが2.17倍とさらに上がっていた。

心臓病との関連は認められず

 一方、心臓病は445人が発症していたが、タングステンとの関連は認められず、18~49歳に限定した解析でもリスクは上昇していなかった。

 この結果について、Tyrrell氏らは「タングステンが酸化ストレスを引き起こし、脳卒中を発症させたのではないか」としている。しかし、酸化ストレスは脳卒中だけでなく心筋梗塞や狭心症などの心臓病も引き起こすといわれている。

(編集部)

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