2014年06月23日 公開

物忘れと認知症どう違う? 専門家が解説

認知機能テストで分かる

 高齢社会の中で患者数の増加が懸念されているのが、アルツハイマー病などの認知症。認知症の主な症状は記憶力が低下することだが、年を重ねることで起こる物忘れとどう違うのか。順天堂大学医学部付属順天堂東京江東高齢者医療センター・メンタルクリニックの一宮洋介教授に聞いた。2つの違いは、認知機能の程度を測るテストを行うと分かるという。

ヒントあっても思い出せないのが認知症

 テレビに出演しているタレントの名前を思い出せない、友人との会話で「あれ」「それ」を繰り返すなどは、誰にでもよくあることで、年を重ねるうちに起こる「年相応の物忘れ」だ。

 ある事柄を記憶しているというのは「記銘(認識し覚える)」「保存(脳にためて持っておく)」「想起(取り出して使う)」の各段階がそろって初めて言えること。

 「物忘れとか忘れっぽさというのは3段階のうち想起の障害です。例えて言えば記憶の"引き出し"に体験した事柄が入っているのに、引き出しがガタついてうまく取り出せないという状態です」と一宮教授は説明する。考える時間やヒントがあれば、引き出しの中に残っている事柄を取り出すことができるという。

 一方、認知症の場合は記銘や保存がうまくいかない状態で、引き出しには事柄自体が存在しないので、考える時間やヒントがあっても思い出せない。

同じ質問の反復は要注意

 昨晩食べたおかずがすぐに思い出せないのは普通の物忘れだが、認知症では食事自体をしたかどうかもはっきり覚えていないので、当然、おかずは何か言うことができない。

 また、記憶は保存される時間によって即時記憶(ほぼ1分以内)、近時記憶(3、4分~数時間)、遠隔記憶(それより長い時間)と分かれる。認知症の場合は、近時記憶、即時記憶、遠隔記憶の順にその能力が低下する。

 認知機能の程度を見るテストの中には、「桜」「猫」「電車」といった三つの言葉を覚えてもらい、別のテストをやった数分後に思い出してみるというテストがある。これは近時記憶の能力を見るもので、認知機能に障害が表れると、この問題に正答できなくなる。

 一宮教授は「また、話の途中に同じ質問を繰り返すような人は、近時記憶の能力がうまくいかない状態なので注意が必要です」と指摘している。

(編集部)

2013年6月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)