2015年04月23日 公開

14歳までの死別や離婚などで1型糖尿病リスクが3倍に

スウェーデン研究

 2型糖尿病と違って生活習慣病が原因でなく、血糖値を下げるインスリンをつくる膵臓(すいぞう)の細胞が壊れることで発症する1型糖尿病。子供が多いのだが、14歳までに家族との死別や両親の離婚、新たな家族との同居などの重大な経験した場合、そうでない子供に比べて1型糖尿病になる危険性が約3倍になることを、スウェーデン・リンシェーピング大学のマリア・ニーグレン氏らが4月9日発行の欧州糖尿病学会誌「Diabetologia」(電子版)に報告した。(関連記事:インタビュー・阪神タイガース・岩田稔投手

肥満度の影響除くとリスク5倍

 1型糖尿病の正確な原因は不明なものの、遺伝と環境の両方が関係していると考えられている。危険因子(その病気にかかりやすくなる要素)として遺伝のほか、出生体重やウイルスへの感染、乳幼児期の食習慣など複数の環境の要素が挙げられており、慢性的なストレスもその一つ。多くの国で幼少期の1型糖尿病発症が増えていることから、環境的な要素の関与に対する注目度は高まっている。

 今回の研究は、スウェーデン南東部の1万世帯以上を対象とした研究(ABIS)の一貫として行われた。対象は、1997年10月1日~99年9月30日に生まれた子供のいる全世帯のうち、登録時点で子供が1型糖尿病と診断されたことがなく、2~14歳時点のデータ収集に1回以上参加した1万495世帯。そのうち、3~14歳で1型糖尿病と診断されたのは58人だった。

 分析の結果、14歳までに家族の死亡や重病、親の離婚や別居、新たな家族との同居、家族内のもめ事などの重大な経験をした子供では、その後に1型糖尿病と診断される危険性が2.96倍に上がっていた。この関連は遺伝的な要素や親の学歴、子供の肥満度(BMI)などの影響を除外すると5倍近くに上昇した。

 今回の検討でも、第一度親族(親、兄弟姉妹)が1型糖尿病の子供ではリスクが12倍と、遺伝が最も重要な意味を持つことが示された。しかし、大きな精神的ストレスを経験することは、出生体重や乳幼児期の栄養状態、ウイルスへの感染などと同じくらいの、環境的な要素の中では大きなリスクだったという。

ストレスで膵臓細胞が疲れ果てる

 精神的なストレスを受けると、体が血糖値を下げるインスリンに反応しづらくなり、膵臓の細胞はインスリンをより多くつくらなくてはならない。ストレスが長い期間続くと膵臓の細胞は疲れ果て、壊れてしまう―。大きな精神的ストレスの経験が1型糖尿病につながる仕組みとして、ニーグレン氏らこのように推測している。また、慢性的なストレスによって全身の免疫バランスが崩れ、膵臓の細胞に有害な状況を引き起こすとの考え方もあるようだ。

 ニーグレン氏らは「今回の結果は、これまで報告された複数の研究結果を追認するもの。ストレスを引き起こすライフイベントは避けられないものであり、子供と親がこれに対処し、悪影響を回避できるよう、医療面での取り組みも含めて適切な支援を行っていくべき」と提言している。

(あなたの健康百科編集部)

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