2015年06月09日 公開

ネットで数分、5年以内の死亡リスクが分かる計算ツール

50万人のデータからスウェーデン研究者が開発

 寿命・余命診断や死亡日推定をうたうサイトは以前から多くあるが、その信頼性については疑問符が付くものがほとんどだろう。こうした中、スウェーデンの研究者が英国人約50万人のデータを解析して作った死亡リスク計算ツールが、ネット上に公開された。「歩く速度はどのくらい?」「同居家族は何人?」など11~14項目の簡単な質問に回答するだけで、5年以内に死亡するリスクが分かるという。ただし、利用者は40~70歳の英国人が想定されているので、日本人がそのまま当てはまらない可能性がある。

健康・生活習慣の要素655種類を男女別に分析

 その計算ツールは「UbbLE」と呼ばれるもので、同名のサイト(http://ubble.co.uk/)で公開されている。「UbbLE」は「UK Biobank Longevity Explorer(英国バイオバンク寿命検査機)」の略で、英国バイオバンクは2006~2010年に英国民約50万人の健康に関するデータを集めた政府や自治体、医学団体などによる共同研究プロジェクトのこと。そこに登録された49万8,103人(37~73歳)のデータを、スウェーデン・ウプサラ大学のエリク・インゲルソン教授とアンドレア・ガンナ氏が解析し、その結果に基づいて「UbbLE」が開発された。

 解析では、喫煙習慣や歩行速度など、健康や生活習慣に関する655個の要素がどの程度死亡を予測できるかを男女別に評価し、そこから強く関連する要素に絞って「UbbLE」に採用している。さらに、別の集団(英スコットランドの2施設で登録された3万5,810人)で正確性を確認したという。こうした根拠が、以前からある多くの類似ツールと比べ、より信頼性が高いと言えるだろう。なお、インゲルソン教授らの研究結果は6月2日発行の英医学誌「ランセット」(電子版)に掲載されている。

 「UbbLE」の利用方法はまず、サイトトップ画面の右側にある「Risk Calculator」をクリック。「この計算機は、英国に住む40~70歳の男女のみに正確な評価を提供するものです」などといった注意書きを読んだら「Continue」をクリックし、11~14項目の質問に答えていくと、最後に「UbbLE age(年齢)」とともに5年以内に死亡するリスクがパーセントで表示される。

 「UbbLE年齢」とは、自分の死亡リスクが何歳の平均死亡リスクに相当するかを示したもの。例えば、5年以内の死亡リスクが1.1%だった場合、実年齢が40歳でも1.1%の死亡リスクが平均値の45歳が「UbbLE年齢」となる。なお、39歳以下や71歳以上の年齢を入力するとエラーが表示される。

"サイバー心気症"になる恐れも?

 「UbbLE」についてインゲルソン教授らは、医師の診察や検査を受けなくてもネット上の簡単な質問に答えるだけで死亡リスクを把握できるとし、「自分の5年以内の死亡リスクを知ることで健康意識の向上につなげてほしい」と述べている。

 しかし、インゲルソン教授らの研究を評価した英ケンブリッジ大学のサイモン・トンプソン教授らは、同誌の付随論評で「(「UbbLE」の結果を)自分の健康に対する意識向上につなげられるか、あるいは"サイバー心気症"の原因になるだけかは議論の余地がある」とコメント。心気症とは、不調が気にかかって病気でないのに重病ではないかと過剰に心配する精神疾患こと。「UbbLE」の結果に深刻に受け止め過ぎて、心気症を引き起こす可能性があると指摘しているのだ。

 さらに、トンプソン教授らは「5年以内の死亡リスクは、もっと長期の病気になるリスクや余命などよりも予測しやすい。しかし、人々にとってより重要なのは後者の方だろう」と付け加えている。

(あなたの健康百科編集部)

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