2015年06月11日 公開

たった一滴の血液でウイルス感染が分かる新技術が登場

米ハーバード大などが開発

 米ハーバード大学医学大学院のスティーブン・エレッジ教授ら国際共同研究グループは、一滴の血液で過去から現在に感染したウイルスが分かる新技術「VirScan(バイルスキャン)」を開発し、6月5日発行の米科学誌「サイエンス」(電子版)に発表した。206種のウイルスに感染した履歴を調べられるという。現時点では研究目的でのみ使えるとのこと(関連記事:血液一滴でアルツハイマー病検査、愛知県などが開発)。

現行は"1つのウイルス検査に1つの検体"必要

 通常、ウイルスに感染しているかどうかを判定するには、ウイルスそのものや感染した証拠を検出する方法と、血液検査の2種類がある。前者は子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の検査やインフルエンザの迅速診断キット検査などがあり、後者はHIV(エイズウイルス)や肝炎などがある。

 しかし、いずれも原則として1つの検体で1つのウイルス感染しか検査できない。例えば、HIVとB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスへの感染を調べるには、3つの血液検体が必要になるのだ。

 今回開発された「VirScan」は、たった一滴(1マイクロリットル以下)の血液で、人に感染する206種類のウイルスを調べることが可能。現在感染しているウイルスだけでなく、過去に感染したウイルス、さらには予防接種で抗体を獲得したウイルスも検出できるという。

費用は約3,000円も実用化はまだ

 これまでの研究でHIVやC型肝炎ウイルスの感染者で検討したところ、感度(ウイルスに感染している人を正しく判定する割合)は95~100%で、特異度(ウイルスに感染していない人を正しく判定する割合)も良好との評価が得られているという。エレッジ教授らは今回、世界4カ国(米国、南アフリカ、ペルー、タイ)で569人の血液を使って「VirScan」の実用性を確認した。

 解析に必要な期間は2~3日、費用は25ドル(約3,000円)。ただし、現在は研究目的のみでしか使用できない。

 エレッジ教授は、「VirScan」がこれまでの"1回につき1種類の病原体の検査"に取って代わる方法になる可能性を指摘。新しいワクチンの開発のほか、がんなどに関連する自己抗体、細菌などウイルス以外の病原体の検査にも応用されるかもしれないとしている。なお、エレッジ教授らが研究員を務めている米医学研究財団「ハワード・ヒューズ医学研究所」の公式サイトでは、「VirScan」についての同教授のインタビュー動画が視聴できる。

(あなたの健康百科編集部)

関連リンク(外部サイト)